4) VB & P のスプレダーバーを取付けました
VB&P's "Spreader Bar"


 「ハイグリップの17インチタイヤを装着したらフロントの剛性をあげないとフレームがたわんでしまうに違いない」という理由をデッチ上げ、私はかねてから興味を持っていた"Vette Brakes & Products, Inc." の "Spreader Bar" を装着いたしました。
 私はこれまでにアメリカ製のいい加減なイクイップメントを装着しては失望する、という事をあまりに何度も繰り返して来たためでしょうか、最近では新たに取り付ける部品にあまり過大な期待をしないようになってしまっていたのですが、今回の "Spreader Bar" の装着は久々のヒット、なかなか効果的なイクイップメントでした。以下ご報告をいたします。

●これがスプレダーバーだ
この写真は"Vette Brakes & Products Inc."のカタログのもの。同社のURLは

http://www.vettebrakes.com/

です。是非ジャンプしてじっくりその製品ラインナップを御覧になって下さい。
Part# 42223........Pre-Welded for cars without engine fan
Part# 42222........Un-Welded for cars with engine driven fan
(VBのカタログの和訳)
スペシャル・ヘビーデューティ・スプレダー・バーは1963年〜1982年式のコルベットにおいて二つのフロントショックタワーを連結するために製作されました。これによって二つのタワーがたわんだり、どうかするとクラックしたりするのを防ぎます。フロント・エンドを強化します。キットに含まれる装着用ブラケットはタブ溶接済みのものと溶接なしの両方が選べます。このキットはエンジン・ファンのついたビッグブロック車には装着が出来ません。スモールブロックの場合はウォーターポンププーリーに当らない様な位置を見つけてブラケットに溶接して下さい。車体側への溶接は不要です。

 私はエンジン載せ替えた時にエンジンファンは取っぱらって電動ファンだけにしてラジエーターもトヨタ製の薄型のものに交換してオリジナルシュラウド等も取っぱらってしまってあるので下の写真でも判る通り、フロントショックタワー周りにスペースの余裕があります。ですから私は当然#42223の "Pre-Welded for cars without engine fan" の方を買いました(上の写真は#42223です)。当然取付けに際しては特に問題は出ませんでした。ですがスモールブロックでエンジンファンの方は#42222の方をお買い上げになって、現車で「エンジンファンにもプーリーにも当らない」ベストな位置を探って「タブ」を溶接しなければならないでしょう。結構おおごとかも知れませんね。

●不思議だが本当だ
 写真がちょっと暗くて申し訳ありませんが、アッパーコントロールアーム(Aアーム)の根元はクロスシャフトというやつが貫通しておりまして、このシャフト自身は2本の強固なボルトでフレーム(ショックタワー)に固定されております。その部分にスプレダーバー用ブラケットを共締めするのです。そして両端ピロボールのバーで左右のショックタワーを連結する、と。
 これだけの事ですがその効果には大きなものがありました。写真を見ると「横剛性が上がったのでコーナリングが良くなったのではないか」と考えたくなるところですが実際には私が体感したメリットはコーナリングよりも、

1)高速走行時の安定感が増した
2)ハードブレーキング時に以前ほどハンドルをとられなくなった

というものでした。
 メーター読みで時速160キロくらいになるとC3のハンドリングというものはそろそろ緊張しないといけない領域に入ってくるのですが、この「スプレダーバー」を取付けたところそのスピードに達しても「ン?」というくらい普通に走ります。もちろんこのスピードでボンヤリ走っていていい訳はありませんが、それでも以前ほど緊張しなくても良くなりました。これは私にとって大収穫です。道が空いていたタイミングがあったのでメーター読み200キロ少々を出してみましたが明らかに以前より「決死の覚悟をせずに」走る事が出来ました。「ただ踏むだけで200キロ」という感じです。
 やはりある程度以上のスピードになるとノーマルの場合、フロント足周りを多少バタつかせながら走っているのでしょうか?それによってアライメントが動的にランダムに変化していたのではないかと思います。「スプレダーバー」の装着によってその「暴れ」もしくは「動的でランダムなアライメントの変化」がある程度規制されたのではないかと想像します。

 またブレーキング時の車の揺れが少なくなったのも喜ばしい事です。私のC3は150キロあたりから強くブレーキを踏むと「ドガガガガガ・・」と物凄い振動に見舞われます。その振動が起こると視界がブレて前方視認に問題が出る程のものです。理由は今一つわからないのですが、私のC3は酷い事故車で、ホイールベースが左右で9mm違います(アライメント用語で『セットバック』と言うそうです)。私は最大の原因はこれではないかと疑っています。このホイールベースの左右差「9mm」という値はフレーム修整作業においては許容範囲ギリギリ、作業者によっては「ダメ」を出す程の悪い数値だそうです(ある自動車鈑金の専門家に話を聞いたところ『セットバックは5mm以内にしたいね』とのことでした)。前回アライメント調整をした時に中部アライメントセンターの作業者の方のレポートに「セットバック9mmあり。直進性に問題ないものの急ブレーキング時に問題が出る可能性あり」と書いてありました。一般的にセットバックの値が悪いとそういう傾向が出るらしいです。で、今回150キロくらいから強めに制動してみたところ、その「ドガガガガ・・」が無くなった、とはとても言えませんが、それでもかなり低減されたのです。これもスプレダーバーによってフロント周りの剛性が上がって、以前はドッタンバッタン足周りが揺れていたのがある程度改善された結果だと考えられます。

 そんな訳でこの「スプレダーバー」は私にとって久々のヒット商品でありました。定価はたったの69.95ドルです。先日デジカメ用に買い求めた64MBスマートメディアが\13,800もして「こんな薄っぺらいのに一体なんという高価なカードだ!」と暗然たる気持ちになった事を考えるとこのスプレダーバーがいかにバリュー・フォー・マネーな商品かが判ります。

(本日の結論)
私は全国のC3オーナーの皆様にこの「スプレダーバー」を声を大にしてお薦めいたします。価値ある一本です。


2000.9.5

●これが今回のテスト走行だ
 スプレダーバーを装着して嬉しくなった私は「テスト走行」と称してあちこち走り回りました。以下、関係ないですがその時に撮影した写真です。
岐阜県は鈴蘭高原を征服したゴージャスジョージ号。隣は一緒に行った友人H氏の71年式アイアン「青みどろ1号」(勝手に命名。実際にはブリティッシュグリーンも渋く輝く美麗、快調そしてパワフルなクルマです)。向こうに見えるのは御岳山(山頂部は雲に隠れていて見えない)。写真には写っていないが実際には写真左の碑のさらに左側には乗鞍山がそびえており、それは人の心をして粛々たらしめる一大パノラマなのだった。でも自分たちは自分の車の調子にしか関心がないのだった。この高原に至るワインディングロード走行において私は今回装着したところのスプレダーバーが確実にゴージャス号のコーナリング性能を向上させている事を確信したのであった。満ち足りた午後であった。


山梨県は御坂峠を征服したゴージャスジョージ号。奥の建物は「天下茶屋」と言いその昔、太宰治が逗留して「富嶽百景」などの名作をものしたことで有名である。太宰はこの茶屋に数カ月も滞在したという。この建物の二階から太宰も見たであろう冨士を望見し往事の太宰の心情の追体験を試みた私であったが残念な事に折からの夏雲が冨士の山容を私の眼前に表すのを拒んだのだった。いかなるカメラをもってしてもこれでは富士山を撮影する事は不可能である。「不都合と不具合と不仕合わせ。人生とはそうした意のままにならない事象の集大成なのだ・・」と納得しながら山菜そば(750円)を食って私は天下茶屋を後にしたのだった。あ、あと、富士山の写真集も買った。

本栖湖を征服したゴージャスジョージ号。本来ならば湖の向こうに大きく富士山がそびえている筈のアングルなのだが(ゴ号後方に写っている看板絵参照。見ようによっては銭湯の壁画そのまんまの構図)夏の雲はあくまでも私に富士山を見せる事を拒んだのだった。だからといって私は失望したり憤慨したりした訳ではない。なぜならばゴージャス号の誇るZZ4型エンジン(公称出力355ps)はあくまで強力にして快調であり、アメリカン・レーシングの17インチホイールは夏の陽光をうけて誇らしげに輝いており、ハンドリングはスプレダーバーの装着により著しく向上、その走りはまさに路面を疾駆する機械馬と形容するより他は無く、そしてエアコンは涼しいそよ風をドライバーである私の額に投げかけており、果然、私は「ゴージャス号に乗ったこの5年間のうち、今この瞬間こそが一番コンディションがいい瞬間では無いかッ!」と気付くに至り、ゴージャス号に乗り出して以来かつて無かった程の高揚感と満足感を覚えていたからである。それゆえ富士山の名所で肝心の富士山が見えないという程度の事実が私の機嫌を損なうという事はなかったのである。それでもこの場所で10分くらいンジーッと富士山方向を凝視していたら雲の薄くなったある瞬間に束の間、私は冨士の山容を垣間見る事を得たのである。「今日はこれくらいにしといてやるか」と呟いて本栖湖を後にした私だった。それにしても「クズだ」「ゾンビだ」「粗大ゴミだ」と言われて人に嘲られ蔑まれていたかつてのゴージャスジョージ号がこの5年間でいかに進歩したかに思いをいたす時、私はいささか感無量の思いが込み上げてくるのを禁じ得ないのである。

それでも本心では富士山の姿がロクに見えなかった事に失望していた私は頭に来てあとはヤミクモに走った。エンジンは調子いい、ハンドリングは抜群、天気はいい、地図は忘れた、となったらあとはもうメチャクチャ走るしかないではないか。昔オートバイに乗っていた頃はいつもそんな風に旅をしていたでは無いか、何を恐れる事があるものか、と私はひたすら涼を求めて北上を試みた。これはそのようにしてメチャクチャ走った挙げ句、どことも名の知れぬ峠に遭遇しこれを征服したゴージャスジョージ号の姿である。数日にわたったテスト走行のうちのある日においては満タンを2回カラにしたと記憶しているからその日は都合700キロ〜800キロ程走行した事になる。心地よい疲れを感じた。
 そして一日の走行を終えた夕暮れ時、夕食の支度が出来るまでのひととき。夕方の高原をわたる爽やかな涼しい風に一日の疲れがいやされる思いでコルベットの傍らに佇んでいたその時にふと、私はこの車に対する理解が少し深まったように思った。コルベットにおいては元来、アメリカ大陸を一日に1000キロ駆け抜ける様なシチュエーションも当然その使用方法として考慮されていた筈である。アメリカ大陸を横断するグランド・ツーリングカー、これもコルベットが持つ本質のひとつではなかろうかと感じたのである。遅ればせながらではあったがこの夏、私はあらためてコルベットが持つそうした美質を実感として体験したように思った。