2) C3にラック&ピニオンを取付けた人



 先日VetteNetで「オレ、C3にラック&ピニオンを取付けて元気に走ってるぜ」という人の話を見かけました。どんなシステムなんだろうと興味を持ってコンタクトをとったところ「こんなんだぜ」と画像を送って来てくれました。その人がその画像の使用を快諾してくれたのでここで御紹介します。

前側から覗いたところ。写真は全てイダール・アンダーソンさんの好意でいただいたものでありやす。

All photos by the courtesy of Idar Andorsen who did this conversion

(あらまし)
 このラック&ピニオンシステムは元々はノルウェイのオスロ在住のパウル・ローゼンクイスト(Paul Rosenquist)という人が設計したとのことでそれに従い今回の画像の車のオーナーであるノルウェイ在住のイダール・アンデルセン(Idar Andorsen)さんが実作業を行ったとの事です。イダールさんによれば現在ノルウェイではこのラック&ピニオンを取付けたC2が1台、C3が3台走っているそうです。以下の画像と情報は全てイダールさんからのものですが、情報そのものはノルウェイ語でそれをマーカス・ストロブル(Markus Strobl)さんという人が英語に直してくれました。私はそれを見てこのページを書いています。だからイダールさんがノルウェイ語で説明した事をマーカスさんが「イダールはこう言ってる」と英語に直したのをさらに私が日本語で説明しているのでちょっと変な語り口になりますがそこは御容赦下さい。マーカスさん自身も自分の71年式454のビッグブロックC3にラック&ピニオンを近々取付けたいとの事です。




(システムデザイン)
 このコンバージョンは車に対しては最小限のモディファイで取付が可能です。問題があるとすればこのページのずっと下の方で述べられているステアリングリンケージの長さに関してでしょうか。
 このデザインをする上でのカギは通常のラック&ピニオンのユニットと違ってスリーブとタイロッドが逆に動くラック&ピニオンユニットであるという点です。ユニットの両端は車体フレーム側にボルトで固定されています。そしてセンター部分がステアリング動作をするパーツなのです。このラック&ピニオンユニットはノーマルのステアリングリンケージでリレーロッドがあったところを行き来するので殆どのヘダースと干渉しませんし、多分ビッグブロックでも大丈夫でしょう。このシステムは以下の部品から構成されています。

(ラック&ピニオンユニット)
 今回の改造に使用したラック&ピニオンユニットはイダール氏の知る限りオペル・ベクトラ(Opel Vektra)89-92、オペル・アストラ(Opel Astra)92-96、サーブ(Saab)900 94-96を含むいくつかのヨーロッパの車で使われています。アメリカではサーブのパーツが入手出来るでしょう。パーツナンバーは以下の通りです。

ブランド名パーツナンバー
サギノー(Saginaw)26 044 238
サーブ(Saab)45 43 179
GM07 74 A


下がこのユニットの分解図です。


(フレームマウントブラケット)

 このブラケットは自作しなければなりません。それぞれのブラケットは片側はラック&ピニオンユニットを固定し、もう片方はフレームにボルトで固定します(二本とも)。運転席側ではオリジナルのリサーキュラーボール式ステアリングギアボックスを取付けていたボルト穴をそのまま使用します。助手席側はアイドラーアームのついていたボルト穴を使用します。よってフレーム側にドリルで穴を開ける必要はないのです。右のスケッチはそのブラケットの外観および寸法図です。尚、ラック&ピニオンユニットをボルトで固定するブラケット(上の分解図の24番)も自作しなければなりません。


(パワーステアリング)
 ノーマルのポンプを使います。ホースはポンプ側にSAE規格のフィッティング、反対側にミリ規格のフィッティングを組み合わせたホースを使用します。リターン側に関してはホースクランプをしただけの普通のホースです。


(ステアリング・カプラー)
 これが最大の問題では無いでしょうか。イダール氏が言うにはステアリングシャフトとラックとの間でいい角度がどうにも取れず、両者の間にはもっと距離が必要だったとの事です。それでイダール氏はフロアジャッキを使用してステアリングシャフトを一部ブッ壊しました(訳者註:一体どんな作業を行ったんでしょうかね)。そして解体屋に行っていくつかのステアリングカプラーを見つけて来てそれを両者に溶接しました。以下がその写真です。



 イダール氏はさらにステアリングシャフトのリンケージの取り回しを全て完璧にしないとステアリング系がひん曲がってしまうと警告しています。私(マーカス)が同じくラック&ピニオンを取り付ける時にはステアリングコラムを破壊しなくて済む様なより良い取り回し方法がないかどうかを良く調べてみるつもりです。というのもやはりステアリングコラムを破壊するのはあまりいい気持ちのするものではありませんからね。


(タイロッドエンドとリンケージ)
 私(マーカス)にはこのリンケージがどこのものかは良く判りません。ドナーとなった車についてあれこれ推測はしましたがしかしこれについてはイダール氏に確かめる事としましょう。また、タイロッドエンドについても良く判りません。イダール氏いわくタイロッドエンドがステアリングナックルの上側ではなく下側に取り付けられている事にも注意されたしとの事。


(問題点)
 私(マーカス)がこのラック&ピニオンへのコンバージョンについて問題だと感じるいくつかの点を下に挙げます。解決出来るといいんですがね。

問題点解決案/解決策
ステアリングコラムをぶった切らなければならない 
ステアリングのロック・ツー・ロックがオリジナルの2.5回転にくらべてこいつは3.5回転もっとクイックな回転数のステアリングの高性能車のドナー車があるのではないか?
ノーマルよりもパワステの効きが強くなるこれも上と同じ様な解決策があるのではないか?

訳者註:C3のロック・ツー・ロックはもともと3.5回転ほどではありませんでしたっけ?いつだったかステアリングギアボックスの遊びを調整するのにクリクリ回したら確か3.5回転少々だった様に記憶してますが?


(やるべき事)
項目解決策
パワステの入力側ホースのフィッティングのミリ規格の具体的なサイズ何ミリ?(それはラック&ピニオンのユニットにボルトインされるのですね?)未回答
このラック&ピニオンの価格と入手しやすさを教えて下さい未回答
ラック&ピニオンの位置を調整する事によってステアリング系の位置関係が良くなってステアリングコラムを切らなくてすむという事はありませんか?未回答
上の分解図の15(タイロッド)はラック&ピニオンについてきたのですか?もしそうでないならどこで入手出来ますか?ラック&ピニオンについてきました(イダール・談)
同じく26のクッションはどこで入手出来ますか?ラック&ピニオンについてきました(イダール・談)
同じく17のタイロッドエンドはどこで入手出来ますか?オペルのディーラーまたは解体屋です(イダール・談)



(改造部分の写真集)
 以下はイダールさんが送ってくれた画像です。写真の説明文は私(ゴ・ホンダ)が勝手に書いたものです。

 この写真の右側が車体前方です。フューエルラインやヘダースは外してあるようです。確かにステアリングステムは大きくカットされているのが判ります。写真右下に上述の「自作ブラケット」が2本のボルトで止められているのが見えます。このボルト穴はオリジナルのリサーキュラーボール式ギアボックスを止めるのに使われていた穴だとの事。ラック側のユニバーサルジョイントはまだ遊んでいます。
 これも下から見上げたアングル。写真左側が前方。上に見えるのはフレームレール。ラック側のユニバはもう取り付けられているんでしょうか?一番奥に見える直腸か結腸みたいなのは何でしょうかね?
 これはどこから見てるのか良く判りませんが、いずれにしてもリンケージの取り回しが随分苦しそうだという事は見て取れます。しかし、奥のエキゾーストらしいパイプは真横向いてませんか?変ですねえ。
 車の左横、下から見上げたところ。これがサーブのラック&ピニオンらしいです。フレームレールから下に突き出た「自作ブラケット」がラック&ピニオンユニットを支えているのが判ります。ブラケットにラックユニットを固定しているのは半円形のブラケットですね。で、タイロッドがラックユニットのセンターくらいからビヨーンとナックルアームに向かって長く伸びているのが見えますね。この写真を見て私が思うのは少し自作ブラケットが細すぎないか、という点とタイロッドが長過ぎて剛性が不足っぽくないか、という点です。
それにしてもこのヘダース、一体どっち向いてるんだ?
 さらに接近。こうして見るとやはりステアリングラックのゴツさに比べて支持ブラケット、半円形ホルダー、タイロッドの「線の細さ」が少しく気になるのであります。でもイダールさんはこれで何年も何の問題も無く走っておられるようですから大丈夫なんでしょう。あと、ステアリングラックを固定する半円形ホルダーの内側には「クッション」みたいな材料があるらしいのですがこれは荷重がかかるとグニューッと変形したりしないんでしょうか?
 長〜いタイロッド。タイロッドが長いとサス・ストロークによるステアリング特性の変化というのはどういう風になるんでしょうかね?バンプ・ステアとかの話ですが。誰か教えて下さい。ちなみにタイロッドエンドはナックルアームの下側に取り付けられております。クイックステアリングの穴の方に入れてありますね。ダルステアリング用(非パワステ車用)の穴が開いているという事は70年代の車ですね。
 真横からみるとこうなる様です。地上高的にはどうなんでしょうか?ストックのパワステのシリンダーブラケットよりは少し下に来てるみたいですね。
 これは丁度運転席の下くらいから覗いたところ。写真奥が車のフロント側です。自作のブラケットがラックユニットを支持している様子が良く判ります。あとついでに気付いたのですが、この写真ではフロントサスがVB&Pのフロントモノリーフサスに変わってますね。このページの先頭の写真では赤いコイルスプリングがはっきり見えてますから別々の時に撮影したものなんでしょう。角形断面のロアアームもさりげなく写っています。黒いダンパーはどこのかなあ?しかしノルウェイ人も頑張りますなあ。



Special Thanks to Idar and Markus,
Let me introduce them!

Idar Andorsen
この人が今回の作業を行ったご当人、イダール・アンデルセンさんです。童話ではなく油絵を描くのが本業の様子。HP上で発表されている油彩画のコルベットの数々はなかなか見ごたえがあります。後ろは79年式。サイドマフラーの様には見えませんがねえ?
Markus Strobl
この人が今回の訳の判らないノルウェイ語を英語に直してくれたマーカスさん。71年式の454に乗っておられます。95年にヨーロッパからアメリカに移住されたそうでその関係でノルウェイ語が判るらしいです(どこの国の出身かは聞いてません)。