
極私的C3コルベット購入ガイダンス
ここでは僭越ながら、C3を購入するにあたっての心構え?めいた事を書いてみました。既にC3に乗っておられる方には関係のない内容かも知れませんが、あなたがまだC3を購入されておらず、まだまだ勉強しなければならない事があると感じておられるのならそこそこ役に立つこともあるのではないかと思います。一度じっくり読んでみて下さい。
●バカとC3
絵にかいたようなバカな男のお話をいたしましょう。その男はC3が欲しかったのです。C3なら何年式でも良かったのです。その男はバカですがとにかくバカなりにあの流麗なボディスタイリングのクルマが欲しかったのです。かねてから愛知県下にC3その他コルベットをズラリと並べているショップがありました。小金を持っていたそのバカはある晴れた日ふと思いついたようにそのショップを訪れました。
バカ「すいません、この型のコルベットに興味があるのですが」
店員「そうですか、あなたはお目の高い方のようですね。それではこれなんかいかがしょうか、前オーナーが事情があって泣く泣く手放した逸品ですよ」
バカ「ほぉ、逸品ですか!素晴らしい!で、どこが逸品なんです?」
店員「このクルマはね、キーをひねればエンジンがかかるし、アクセル踏めば前に走り出すしブレーキを踏めば何と、減速までするんですよ!」
バカ「いやー、そりゃ凄いですねえ・・。他には?」
店員「それだけじゃないんです。このクルマ、ハンドルを回すとちゃんと街角を曲がれるんですよ!いつまでも真直ぐ走ってやがてどこかにぶつかって止まる様なよくあるチンケなクルマじゃないんです!」
バカ「素晴らしい!本当に素晴らしい!これは一体いくらですか?」
店員「何と、今ならたったの250万円です!」
バカ「買った!!」
あなたはテレビショッピングを見てモーターアップを衝動買いしそうになった事はありませんか?そのバカはモーターアップや怪し気なカーワックスを買うかのようにC3を衝動買いしました。バカの面目躍如です。そしてそのバカ、つまり私が購入した'81のC3は当然のように「どうしようもないクルマ」でした。およそ歴代オーナーのやる気が感じられないというか、乗りっぱなしというか、「変哲のなさすぎるただのボロ車」だったのです。とにかく「何か特別なことをしてもらった」という形跡はゼロ。ただ年月が経ってボロくなるに任せた、という感じのクルマでした。取り柄はひとつもありません。事故車でもあり、全体的に末期症状にあったと言っていいでしょう。その為、結構多くの定番トラブルを体験する事になりました。その後色々と他人様の話を総合すると私がC3購入後一年間で経験したトラブルはどうやら平均的C3オーナーのそれを大きく上回っているようでした。多分私は不幸な星のもとに生まれていたんでしょう。
この項はC3購入を志す方がそのバカ男、つまり私のような目にあわないようにするにはどうしたら良いかという事を主眼として書きました。ですからC3に精通された方にはそれほど目新しい話は無いはずです。また、これはあくまでも私の意見に過ぎない、という事も申し上げておきます。人はその人生観を自らの実体験を離れては語れないのと同様、私のC3に対する考え方も主に私の実体験に基づいて書くしかありません。という事は私のC3は例外的にボロだったという事を考慮するとここで私が書くことは一般に言われているより少々厳しすぎるかも知れません。ですからあくまでひとつの意見としてお聞きいただければ幸いです。
●C3を買う人はチャレンジャー
私は今まで人様にC3の購入を勧めたことは一度もありません。「私もC3コルベットが欲しいのですが」という様な相談を受けると「へえ、物好きな人だなあ、チャレンジャーだなあ」と顔をまじまじと見てしまいます。これだけ安全で低燃費で故障知らずで快適でスマートなクルマが世の中多いのにアナタ、何もわざわざ好き好んでC3なんか乗ることないでしょうに、と思うのです。良く考えると自分もC3に乗っているのですが。
●なぜ私は人様にC3をお勧めしないか?
私が人様にC3をお勧めしない最大の理由、それは購入すること自体に賭けの要素が多すぎる、という事があります。世の中には非常に程度の良いC3がある事は確かです。実際私の知人関係でも「全然故障しないC3」を所有している人もいます。うらやましい限りです。また何も考えずに外観の古びたC3をただいきおいで買っただけなのに2年間故障ゼロ、という人も実際いました(神様は不公平です)。でもあなたがC3を購入する場合、自分がそのような幸運に遭遇するとは考えない方がいいでしょう。甘い期待は常に裏切られるのが人生です。くれぐれも自分が選ばれた幸運な側にいる人間だとは考えないようにして下さい。
現実にはゾンビの様な状態にあるC3でも立派に市場に流通しています。不幸にして、もしあなたがそのようなC3を購入してしまった場合はそのクルマを維持するのにかなりの出費を覚悟しなくてはなりません。場合によってはあなたの生活を圧迫する要因にすらなるでしょう。そんなクルマを一体誰が無責任に勧められますか?
●なぜC3を購入することはギャンブルなのか?
それは前歴がさっぱりわからないからです。あなたがC3を購入すべくショップを訪ねたとしましょう。そこではピカピカに輝くC3があなたに向かって微笑んでいることでしょう。「うーん、スゲェ、このボディスタイル!」とあなたはその輝きに魅入られてしまうに違いありません。すると悪魔の手先(世間では『店員』と言っているようです)が近寄ってきてあなたの耳もとで囁くのです。「このクルマは最高ですよ。主要部品は全て点検済みで機関も極上です」。すでに妖しく輝くC3のボディに魅入られてしまったあなたは深くうなずきながらついこう答えてしまうでしょう、「確かにそのようですね」。
そうなると後はもう悪魔(世間では『店員』と言っているようです)のペースです。悪魔は次から次へとそのC3のいいことばかりをまくしたてるに違いありません。そうなると不思議なもので目の前のC3が本当に素晴らしい極上のクルマに見えてきてしまうのです。注意して下さい。人間はこの様な心理状態の時につい「購入契約書」に捺印してしまうものなのです。
外見だけでは人の心の中までは判らないように、C3もいくらボディが光り輝いていようとその中身まではわかりません。不治の病に冒されている人でさえその初期段階では結構元気に見えることがある様に、C3も内部に大きな問題を抱えていても案外わからないものなのです。で、問題が露見してから「あんなに調子良さそうに見えたのに・・」と当惑することになる訳です。ギャンブルというのはこの意味においてです。決してC3をトヨタやホンダの車と同列に考えてはなりません。それはシボレーの車であるのみならず、最低でも17年も前の車なのです。これがどんなにギャンブルであることか想像してみて下さい。それでもあなたはそのC3を外観だけで買うのですか?
●中身を見よう!
中身が一番大事なのは人間もクルマも同じ。外観も重要ですがここはひとつ、中身も見てみましょう。「中身を見る」とはつまりそのC3の「現状を把握する」という事でもあります。C3というクルマの最終型は1982年。という事は前述の通り最終型でも既に17年も前のクルマです。17年間というのは日本車でさえポンコツになるのに充分な年月です。購入する前にそのC3がこれまでどんな年月を過ごしてきたかを知らなければなりません。そのC3は大切にされてきたか、ぞんざいに扱われてきたか、深刻な事故をおこした事があるか、それとも健気に息災に過ごしてきたか、等、気になることは山ほどあります。そんな訳で私は「そのC3は動くのか?その2」というページでC3を冷静に観察するための?「チェックリストその2」を作ってみました。もちろんまだこれは完全なチェックリストとは言えません。でも購入にあたってこのリストに従って各部のチェックをしていけばかなりの程度そのC3の現状が掴めることと思います。
●悪いところがあって当たりまえ
ひとつ誤解のないように申し上げておきたいことは、この「チェックリストその2」は「完璧無比なC3を購入するためのリストではない」という事です。普通ショップで売られているC3はむしろ「悪いところが目について当たり前」なのです。だからそれ自体は問題ではありません。問題にすべきは「その悪いところは修復出来るのか、それとも修復不可能なのか、また修復出来る場合でもどれ程の手間・費用がかかるのか」という見極めではないかと思います。この「チェックリスト2」はその「見極め」をするために使用するものです。使用にあたっては「評価基準」の「C=問題ありだが直せる」と「D=問題あり、修復困難」の見極めに特に留意して下さい。例え現状でボロいポイントが多くてもそれらの箇所の評価が「C」である限りは希望があります。それは「金と労力を使えば直る」からです。反対にいくら綺麗なクルマでも「D」評価の多いクルマは要警戒です。「金も労力も無駄になる」からです。
●冷静に判断しよう
例として、あなたがあるC3を購入候補としてチェックしたところ、ボディに損傷はないもののサスのブッシュ類はボロボロでとてもアライメントどころではない、というクルマだったとします。でも値段は非常に安い。あなたならどうしますか?もしそのクルマに事故歴が無い様でエンジンおよびドライブトレーンに問題が見つけられない場合、私なら値段しだいでは「買い」の可能性があります。提示された値段に、新しいブッシュ、バネ、ダンパー、ボールジョイント、タイロッドエンド、ハブベアリングなどを組込むのにかかる費用の大体を加算してそれがその年式のC3の相場を下回っていると判断出来るなら決して悪い買い物ではないからです。特にあなたが自分で足回りをバラしてディスクサンダーやタガネやトーチを駆使してボールジョイントやブッシュの交換を自分で行うだけの技術・経験がある場合はなおさらです。
反対に、外見も綺麗でドレスアップもそこそこなされているが下回りを覗くと大がかりな事故修理痕があって乗ってみると「ブッシュも交換されているのに何か操安性がおかしいな?」と思えるクルマ。あなたならどうしますか?私なら値段が多少安くとも敬遠する可能性が高いです。
以上の様な判断、見極めをしていただく手助けとなるのが「チェックリストその2」です。それによってそのC3は金のかかるクルマなのか、それとも手のかからないクルマなのか、「買い」なのか「やめ」なのかあなた自身で努めて冷静になって判断をして下さい。
●ひとつの問題点
ただひとつ問題があります。それは全てのショップで下回りを見せてくれるのか、試乗をさせてくれるのか、「チェックリストその2」で必要とされる様なチェックを心ゆくまでさせてくれるのか、という事です。私もC3を買ったのは1回だけですので良く判らないのですが、下回りを見せることなど思いもよらないショップがあるそうです。試乗も助手席に乗せて町内一周だけ、なんて所も多いそうです。
そんなショップではとてもじゃないが買えない、というのが私の感想です。それでは街のポン引きと同じではありませんか。
昔、私が歓楽街を歩いているとキャバレーのポン引きが「お兄さん、ウチの店にはいい娘いますぜ、ほら見て下さいよあの娘、美人でしょう」と声をかけてきました。
私 「うーんナイスだねえ!」
ポン引き「でしょ?あの娘、女子大生ですぜ」
私 「ナニ、女子大生!本当?証拠ある?」
ポン引き「いやそれはちょっと・・」
この会話からもその娘が女子大生でない事は火を見るよりも明らかです(ちなみに今は「女子高生」というのがもてはやされていますが私の青少年時代は「女子大生」というのが世の男どもの劣情を刺戟するキーワードだったのです)。一番笑ったのは「お兄さん、あの娘、処女ですよ」と言われた時。そんなバカな話がありますか?そのポン引きのニーチャンはどう好意的に見ても20代後半くらいで態度がふてぶてしくて化粧が濃いネーチャンの事を「処女だ」と断言するのです。
結局、ポン引きが「お客さん、この娘は処女ですよ」と請け合うのとクルマ屋さんが「お客さん、このクルマ、極上ですよ」というのは営業トークという意味においては全く同じだと言って良いでしょう。まあ深い意味の無い挨拶みたいなもんです。客としてはこの辺りのアウンの呼吸を了解した上で「へえ、そりゃ結構ですねえ」とサラリと受け流すのが正しい対処法です。全てを了解した上でサラリと受け流す、こういうのを「粋」と言うのです。今どき結婚する相手の女性に処女性を求めるバカな男がおりますか?それと同じでC3を買おうという程のガッツでチャレンジングな青年なら処女性だとか外見などという非本質的なことではなく「中身」にこそ目を向けるべきでありましょう。
問題は前述の通りポン引き、いやショップの人がC3という「もと美女」の下回りをジロジロ見るのを許してくれるかどうかです。確かにショップの人にも同情すべき点があると思います。C3の様なクルマを売るというのもこれはこれでキツイ商売だと言えます。それでいちげんの客に「極上だと言うなら証拠を見せろ、リフトに乗せて下回りもチェックさせろ」といきなり言われても向こうは警戒するでしょうね。女衒に「ダンナ、この娘はね、オボコですよ」と言われて「本当か、信用ならねえなあ?どれ、ちょっと裾をまくってこの目で確認させろ、触らせろ」と言う様なものですから。で、女衒に「しかしダンナも不粋なヒトだねー」と呆れられたりする訳です。
それでも女衒相手ならともかく、ことC3の購入に関してはいくら「不粋だねえ」と言われようと「オレは見せてくれる店で買う」と言うしかありません。私は断じてその実態は存じませんが聞くところによれば今どきはフーゾクですら「顔見せ」は常識だと言うではありませんか。そういう情報公開の時代に何故C3の下回りをチェックすることがそんなに忌み嫌われなければならないのでしょうか。解せない話です。関係者各位の意識改革を望みたいポイントです。
何とかして「満足の行くチェックをさせてくれるショップ」を探し当てて下さい。また、あなたが「チェックリストその2」を持参して真剣に外観チェックから始めればショップ側の人も「この客は本気で買う気だな」と思うでしょうし、うまくすれば「多分コルベットに詳しい客だな、表面的な営業トークでは通じないかも知れないな」と思ってもらえるかも知れません。そうなるとこの不景気ですから普段は下回りまで見せてくれないショップでも案外「これで買ってくれるなら」と見せてくれる気になるかも知れません。
どうしても下回りを見せてくれないショップの場合はどうするか?私ならあきらめます。楽しいコルベットライフを送る肝心かなめのポイントを未確認のままミズテンでC3を購入する気にはこれ以上どうしてもなれません(私自身はミズテンでC3を買った。そして金をつかった。次は同じアヤマチを繰り返すまいと思っています)。
●もうひとつの方法
C3は必ずショップで買わなければならないという訳ではありません。個人売買という方法もあります。ただ私がここでいう個人売買というのは雑誌の売買欄などを見て買う、という方法ではありません。
C3を買った頃の私にはコルベット仲間というものがおりませんでしたが「同病相憐れむ」の例え通りそのうち徐々に知り合いが増えてきました。そういう人たちと付き合っているうちに気付いたのですがそういう仲間同士、その知り合い同士の情報交換によって結構C3などの売買が成立しているようなのです。ある人などは最初'80に乗っていてコツコツと丁寧に直して綺麗に乗っていたのですがかねてから「73年型が欲しい」(ウレタンノーズでリアがアイアンバンパーというのにこだわりがあった模様)と言っていたところ偶然出物があったのです。その人は現物を見て購入を決心、「誰かオレの'80買ってくれないかなあ」と漏らしたところすぐ数人が「オレが欲しい」と手を挙げたのです。それは皆、その人がその'80を何年もかかって問題点をツブし丁寧に整備してかなり程度の良い状態に仕上げてきたのを知っていたからです。
こういう売買方法ですとかなり「素姓の知れた」クルマの購入ができることになります。価格的にも前オーナーさんがコルベットを愛する人で次のオーナーさんにバトンタッチしようという考え方をしてくれれば余り法外な数字は出ないのではないでしょうか。また、前オーナーさんにそのクルマの状態、次になすべきことをつぶさに聞くことにより次のオーナーさんは間違った金の使い方をしなくても済むことになります。
あなたの回りを見回してみてこういうアメ車の仲間の集まりの様なものはありませんか?もしあったらC3の購入を急ぐ前に暫くそういう集まりに顔を出してみるのもいいと思います。そんな事を繰り返すうちにタイミング次第では「こんなクルマ、売りたいっていう話が来てるけど興味ある?一度見てみる?」という話が出てこないとも限りません。
●それでもC3の冷静な評価は難しい
実はつい先日、私自身がこれに近い体験をしました。私は'81に乗りながら一方ではアイアンに対して強い憧れを持っております。「アイアンいいなー」というのが口癖なのですがそれを知っている知人の関係から「'68のアイアン売りたいって人がいるけどどうする?見てみる?」というオファーがヒョイときたのです。提示された価格も非常に良いものに思えました。
私は自分自身の「チェックリストその2」を握りしめて全ての項目にわたってそのアイアンをチェックしました。「冷静になるんだ」と自分に言い聞かせ、額から汗が滲むくらい一生懸命チェックしました。結果、残念なことにいくつかのポイントで私の希望に決定的に沿わないところ(特に年式)があり涙をのんで諦めました。
今思い返してもおかしいのは、チェックリストによる全ての客観的評価は「このクルマはやめとけ」と言っているのですが、にもかかわらず私はすんでのところでそのアイアンバンパーを買うところでした。評価欄に「D」の項目が増えるたびに「やはりこのクルマは買ってはいけないな」と思う一方で「アイアンだぞ、アイアン。次にこの値段で手に入ると思うか?その気になればこんな不具合なんて直るんじゃないか?」という思いがつのってくるのです。あそこの不具合がどうした、ここのキズがどうした、というセコい判断を超えたグイグイと引っ張られる様な魅力を感じてしまったのです。本当に危険なクルマです。
以前私の「チェックリストその2」を見て「これは厳しすぎるのではないか」といった知人がいましたがそんな事はありません。それなりに頭をひねってリストを作った本人の私にしてからが、いざ欲しかった世代のコルベットを購入前提でチェックし出すと途端に度を失い、冷静さを忘れてチェックリストを眺めながら「もうどうでもいいじゃないか、こんな細かいこと」などと呟き出す始末です。しかも私は「二台目」のC3を買おうとしているのにですよ!だから「初めてのC3」を購入する人ならもっと度を失う可能性があります。そう言う意味では「チェックリストその2」が厳しすぎるという事はないと言えましょう。
●C3を大切にしよう
'68アイアンをチェックしながら一方で思ったのは30年という年月の長さです。御存じの通り'68はC3が世にデビューした年です。今が'99ですから30年以上前のクルマと言うことになります。30年と言えばひとりの赤ん坊が生まれ、育ち、青春を過ごし、やがて結婚して一家を構える程の年月です。「それだけの年月をこのクルマは頑張って生きてきた訳ね」とちょっとばかり感心してしまったのです。先程はこのアイアンに不具合があるような書き方をしましたがそれはNCRS的な「評価」をするとそうなる、という事でそれとこのクルマが人々に30年間愛されてきた、という事はまた別の事です。細部を見るとそのアイアンが歴代のオーナーに愛されてきたことは歴然としていました。アメリカ開拓時代の西部の男たちが馬を愛し、丁寧にあつかい、時に洗ってやり、飾りをつけてやり、時には遠乗りに出かけ、時にロデオまがいの事をして、そして時に一緒に旅をしたような、そんな感覚で扱われて今まで生きてきたのではないか、とまで考えたりしました(ここまで来ると私の妄想に近いものがありますが)。
クルマなんてものは放っておけばどんどん悪くなるものではないでしょうか?5年、6年でボロボロになるクルマだって少なくありません。そう考えると「あそこが悪い、ここが悪い」と四の五の言う前にまず'68のアイアンを今日までこのコンディションに保ってきた歴代オーナーの愛情と熱意には敬意を表するのがスジというもんでしょう。
そんな事もあって最近では自分の'81に関しても「自分の代でコイツをボロボロにしたりツブしたりしちゃうのはマズイかな?」という考えが芽生えつつあります。C3もそろそろ文化遺産?として「守っていく」という考え方があってもいいのかも知れません(註:ただし私はオリジナル主義者ではありません。どちらかというとエンジン載せ替えようぜ、とかホイール替えようぜ、という非オリジナル派です。ですから『文化遺産』、というのは滅多やたらにツブさないようにしたいですね、くらいの意味にとっておいて下さい)。
●あとはあなたの判断である
このページには私の主観も多く入っておりますのでこれだけではとても完全な情報とは言えません。C3を購入するにあたっては色々な人に話を聞き、色々なショップに通って情報を集められることをお勧めします。そうやって選択眼をある程度養った上で買うべきか、買わざるべきかを判断してみて下さい。
あなたが買おうとしているそのC3は処女ではありません。女子大生でもありません。すでに旬を過ぎトウのたった女、もとゴージャスな美女だと解釈して下さい。その上でそのC3の現状を正確に把握しましょう。そのC3は身も心も腐ってしまっているのか?それとも磨けばまたもとのゴージャスな美女に戻るのか?判断と選択を誤らないように細心の注意を払って下さい。とは言ってもなかなか人間、本当に客観的な判断というものは出来ない物のようですが(普段エラそうな事言いながらアイアンを買いそうになった私が好例です)。
そしてC3を買ったらあなたは「素材を購入した」と考えて下さい。多少悪い箇所があとから出てきても決して失望することはありません。心の中に「素晴らしく輝く私のコルベット」をイメージして下さい。そしてチェックリストで確認した不具合箇所を計画をたててこつこつと時間をかけて直していこうではありませんか。それはそれで意義深い楽しい時間であると思います。
●Enjoy your Corvette!
ずいぶん長くなってしまいましたが多少はC3購入を検討しておられるあなたのお役に立てたでしょうか?ところで私は一番大事な事を申し上げるのを忘れておりました。本当はこのページの冒頭に書かなければならないくらいの大事なことです。それは「C3は間違い無く楽しいクルマだ」という事です。私もまだC3に乗って4年にしかならない身分で諸先輩方を差し置いてあまり偉そうなことを言うのは気が引けるのですが、今でもC3に乗ってシュドドドド、と走り始めると「ああ、このクルマは楽しいなあ」と思います。多分あなたはかつて日本車では味わうことの無かった感覚をこのクルマで体験することになるでしょう。何かしら、どこまでもこのまま旅に行けそうな、このまま地球の果てまで走って行けそうな、アメリカ大陸だってこのまま横断出来そうな感覚です。このことは是非とも申し上げておきたいと思います。
以前あるアメリカ人のC3乗りとメールのやりとりをしていたらそのアメリカ人も「お前もコルベットの少ない日本で結構苦労しているみたいだけど、それでもオレはお前に保証するよ。コルベットは楽しいクルマだよ。間違いなく楽しいクルマだよ」と言っていました。あれから何年か経過しましたが、私は「確かにあのアメリカ人の言った事は本当だな」と感じています。最後にそのアメリカ人がメールの最後に書いてくれた下の言葉をもってこの項の終わりにしたいと思います。