追加付録-コルベットを買う時の注意点(洋書より-1)


 本ホームページを開設して以来、メールでC3の購入について時々質問を受けるようになりました。やはり悩みは人さまざまのようで出来る限りお答えするようにはしているのですが果たしてお役に立てているのかどうか自信がありません。もっと判り易い購入ガイドが必要かも知れないなと思っていたところ、最近購入した本になかなか親切な購入ガイドが載っていたので一部抄訳いたしました。出典は、

"CHEVROLET CORVETTE
RESTORATION GUIDE"
by Lindsey Porter
published by MBI Publishing Co.



です。この本は非常に有用な本です。面白い事に著者のリンジー・ポーターは英国人。英国の数少ないコルベット・エンスージアストの為に出版した本がアメリカのMBI Publishingの目に留まって「こりゃ面白えや」とアメリカでも出版されたもののようです。興味を覚えた方はどうぞ原書をamazon.comなどでお求めになって是非続きをお読みください。


Buying a Used Corvette

by Tom Falconer of Claremont Corvette

●コルベット購入時の法則
 25年以上コルベットを取り扱ってきて私は自分の犯したミスや他人の犯したミスから色々な事を学んできた。それらを通して私はコルベットライフを満足の行く、実り多いものにするための一定の法則を作り上げるに至った。

 この法則は買い手にとってと同様、売り手にとっても重要な法則である。というのもその車をクラッシュさせたり遺贈したり元のオーナーに戻したり最悪の場合離婚慰謝料として配偶者に渡してしまったりしない限り、全ての買い手はいつかは売り手となりうるからである。いずれにせよ、私は次の法則から始める事にしよう。


法則1
買う人はほとんどの場合、彼または彼女のすんでいる場所からもっとも近いところでコルベットを買う。そしてそのコルベットは概して売り場で見た最初の一台である。

 この法則はコルベットを選ぶ上でもっとも重要なファクターであり、もっとも頻繁に観察されるものである。初めて買う人はコルベットを見て、恋に陥り、そして金を手渡す。すでにコルベットを買った読者諸兄ならばこの法則が真実であるという事をきっと御存知であろう。もしそうでないと言うのならば、この本はコルベットのレストアについて書いてある本なのだが、あなたは一体なぜ今この本を読んでいるのか?

 コルベットがレアである国においてはこれは理解出来る事である。多くの買い手が売り場にあるコルベットを見るまではコルベットを所有するという事について具体的に思い描けなかったのだ。明らかに市場調査はする価値があるし、もっと遠くで売りに出ている他のコルベットを探す事にも価値はある。が、近所の車というのは常に便利なのでつい買ってしまうという訳だ。

 幸いな事に、この法則が観察されるのは初めてのコルベットを買う場合だけに限られる。そして逃れる事の出来ない法則はこれだけである。




法則2
コルベットのインテリアはその車について他の何よりもその車の事を表している

 不注意なオーナーというものは車の他のどの部分よりもまずコクピットに危害を加えるものである。もし灰皿が何年も掃除されてないなら、あるいはリアコンパートメントのグリルが割れたりしているのなら、多分前のオーナーは一度もその車をまともに整備した事などないし、パワステフルードはポンプがゴロゴロ言うまで足さなかっただろうし、エンジンオイルもバルブリフターがカタカタ音を立てるまで下がってからやっと補充するというような具合だったと考えて良い。

 汚れのこびり着いたカーペットは例えば錆び付いたウィンドシールドフレームからのリークがある事を示している(こいつは金がかかる)。すり減ったカーペットは走行距離が伸びている事を示している。色褪せたカーペットはその車がずっと屋外に置かれていたのではないかと思わせる。シートや1977年以降のモデルの革巻きステアリングホイールも同じようにそれぞれの経歴を物語るのである。

 何十年にもわたってコルベットはどんどん豪華なインテリアとなって作り続けられてきた。そしてそれはインテリアを交換する費用にもろにハネ返っている。アメリカの自動車パーツのカタログをちょっと眺めただけでも1984年式のインテリアは1964年式のインテリアのパーツ価格のざっと2倍以上であることがわかる。そんな訳で車が新しい年式であればあるほどこの「インテリアの法則」が重要になってくるのである。

 そしていかなる場合も内装部品の全交換はエンジンのフル・リビルドよりもコストがかかるという事を決して忘れないように。よって二つの車のどちらかを選ぶ場合、片方はインテリアがボロでもう片方はエンジンがボロだとしたら、後者を買う事!




法則3
悪いコルベットは悪い匂いがする

 以前私はお客に「良いコルベットを見つけるための秘訣はドアを開けて匂いを嗅ぐ事だ」と冗談まじりに言った事がある。その後経験を積んだ結果、私は自分の言った事にはその時に考えていた以上に真実が含まれていたということを認識するに至っ た。「新車の香り」のかわりに朽ちた匂いが敏感な鼻孔に感ぜられるようになるのである。

腐りつつあるシートフォーム、湿っぽいカーペット、ヒーターの中のネズミの死骸(驚くべき事だがこれが結構ある)、配線類を通すグロメットがめちゃくちゃなバルクヘッド、オイルプレッシャーゲージホースの漏れ、ヒーターコアの漏れ、そして時には内部配線の過熱ですら例え無意識的にせよ、注意深く匂いを嗅ぐ事によって感知することが出来るのである。

エンジンルームは更に多くの事実を暴露する。例えばボロボロのキャブや漏れぎみのインジェクターから流れ出すガソリンの匂い、ひび割れたホースやメクラ蓋、時にはクラックの入ったシリンダーブロックからのクーラントの臭い、すり減ったシリンダーボアやクランクシャフトリアシールからエキゾーストに吹き出したオイルの焼ける臭いなど。車の後ろに回った時に漏れぎみのディファレンシャルケースから浸み出てくる硫黄質の匂いを無視しない事。

 良いコルベットは例えエンジンフードの下においてさえ、とても良い香りがするはずである。あなたの鼻を信じよ!




法則4
コルベットのウェザーストリップはバカ高い

 まだコルベットの事がよくわかってないうちはあなたはリール巻きのバルク売りのウェザーストリップ一式が新品で100ドル以下で買えるじゃないかと考えたりするだろう。それは間違いである。

コルベットは発泡ゴムを芯材として、その表面をより硬質のゴムで被った「ラテックス」製のウェザーストリップを使用している。これは風切り音や雨を閉め出すには大変効果的であり、取り付けブラケットも一体成形で美しく作られており、そして大変高価である。このタイプのウェザーストリップは老化すると見た目はヒドイものになるのだが。むろん安物のレプリカでも充分役に立つ。あなたがウィンドウを閉めようとしたり、雨の中をドライブしようとしたりしない限りは。




法則5
クラッシュしたコルベットは常に再生される

 コルベットは全て貴重なものである。よって人々はクラッシュしたコルベットをリペアする。ろくでもないリペアの施されたコルベットを買ってしまったらそれを所有している間だけでなく、もしあなたが正直な人間ならそれを売る時にさえ、あなたは自分のミスを後悔する事になるだろう。

 とにかく第一に必ずメジャーを持っていく事。そして53〜62年式は102インチ(2590ミリ)、63〜82年式は98インチ(2489ミリ)そして84年式以降は96インチ(2438ミリ)のホイールベースであるという事を忘れないようにしたい。ディッシュホイールを履いた初期のモデルならホイールベースを測るのは簡単である。両側のホイールベースで1/4インチ(6.3ミリ)以上の差があったらその車には疑いの目を向けなければならない。私は左右で2インチ(50ミリ)の差がある車を見た事がある!

 初期のモデルは頑丈で、当時それほどクラッシュしなかった。もし58〜62年式が家にぶつかったら車屋は呼ばなくていい、それよりも大工を呼べ、などと言われたものである!

 63〜79年式はフロントホイール後ろのフレームの彎曲部が非常に曲がりやすい。そしてこれらの車こそもっともメジャーによるホイールベースの検査が必要となるものなのである。68〜82年式のクーペにおいては車を前から見て、ノーズの先端とTバールーフのセンター枠が一直線上にあるかどうかで目視確認をする事が出来る。80〜82年式の車ではより薄い材質でつくられたフレームを持っており、上記の彎曲部にお いてより曲がりやすい性質を持っている。もしあなたが曲ったシャシーフレームに合うようにリペアされたボディを持ったコルベットを買ったとしたら、あなたは大変な問題を抱える事になる。

 安いアフターマーケットのボディパネル製品(特にフェンダー)は裏側がゴツゴツしていたりけば立っていたりするので簡単に識別する事が出来る。GM製のボディパネルはスムーズなのである。

 84年式以降のコルベットを鑑定するときは、まず最初にドアの閉まり具合をチェックする事。そしてもし疑わしい感じがしたならショップの人に一度タルガルーフを外して再度また取り付けると言う作業をお願いするとよい。もしボディが狂っているならそのショップ・ガイはタルガルーフを取り付けるのにさんざん格闘しないといけないだろう。

 1985年から1991年式までのTPI(Tuned Port Injection) モデルにおいてはウィンドシールド下部のラバーシールとデスビのアルミフィンのついたカバーとの間のクリアランスをチェックする事。フロントを激しくクラッシュさせた経歴のある車の場合、この二つの部品が接触するだけでなく押しつぶされる事がある。通常、84年式以降の車の場合組み立てのクオリティは高いので、お粗末な修理はすぐ見分ける事が出来る。ただし事故によってダメージを受けた車でも修理作業が一級のものならばふつうの車と比べて何ら劣るものではないという事も覚えておく事。




法則6
コルベットは太陽光で加熱処理される事がある

 コルベットはその小さな二人乗りの室内を冷やすに充分なエアコンを備えているという事だけがその理由ではないのだが、アメリカのサンベルト地帯(訳注:バージニアやカリフォルニアあたり一帯の事だそうです)で常にポピュラーでありつづけてきた。だがそのエアコンも車が戸外に一日中停められていては何の助けにもならないであろう。

 これらの暑い州で一日中ガレージの中にいる訳にいかないコルベット達は色褪せた塗装、カラカラに乾いてボロボロになったウェザーストリップ、汗で痛んだシートとシートフォーム、そして色褪せてしなやかさを失ったカーペットに悩まされているのである。特に78年式以降のクーペにおいてそうである。

 こういう状況におかれていた車がひとたび湿気の多い北方の地域や北ヨーロッパに運ばれるとエキゾースト系やブレーキパイプやその他ボディ下面の部品があっという間に錆びてしまう。なぜなら乾燥した熱気やホコリが部品を包んでいた油分やグリースを飛ばしてしまった後だからである。これは特に数日の雨の後でも固着しがちなドアロックのメカニズムに影響する。

 陽光豊かなサンベルト地帯は鉄ボディのクラシックカーの産地としては素晴らしいかも知れないが、コルベットはファイバーグラスで作られた全く別の種類の車なのである。最上のコルベットの多くはアメリカ北部のエンスージアストのもとからやって来る。彼等は雪深い冬はずっと車をガレージにしまいこみ、そして一年の半分だけその車を戸外で走らせるのである。これは走行距離もふつうの半分しかないという事をも意味しているのである!

 灼熱の太陽はボディーの接着剤も乾燥させ、ファイバーグラスのボディをもろくさせ、1973年式のソフトノーズモデルに始まったウレタン製ノーズおよびテールセクションにダメージを与えるのである。1984年以降の「太陽熱調理済み」コルベットは一目で分かる。オリジナルで黒だったダッシュ上のスピーカーグリルがブライトブルーに変色しているからである。それ以前のモデルではウィンドスクリーン上部のブルースモーク(原文tint)が茶色に褪色している例がしばしば見られる。




法則7
ファイバーグラスの車は錆びない?

これまでに100万台以上のコルベットが作り続けられているという事実がこの車を史上もっとも多く販売された2シーター・スポーツカーにしている。そしてこれはまたコルベットが史上もっとも多く製作されたファイバーボディの車だという事でもある。

 1953年に製造が開始されて以来、シボレーは常にGRP(Glass Rainforced Plastic-通常日本で言うFRPのこと)技術のリーダーであり続けてきた。製造開始後2年目の1954年、凸凹型加圧成形法(訳注:加圧成形法というのはチョップストランド工法の事と思われます)が導入され、これによって成形されたボディパネルは表も裏もスムーズな面を持つようになった。一方他のファイバーグラス・ボディの車のメーカーはまだ雌型にファイバーマットを敷いてレジンをペタペタ塗布して積層する工法を採っていた(訳注:他のメーカーというのは具体的にはカイザー・ダーリンの事でしょう、1954年なら)。そして殆どのアフターマーケット製のコルベットのボディパネルはこの積層工法で作られているのである。

 ではもしコルベットがファイバーグラスで出来ているのなら一体どこがどうやって錆びると言うのか?それに対しては「購入希望者にとって重要な、錆を警戒しなければならないポイントは山ほどありますよ」と答える事にしよう。それでも鉄製ボディの車に起こるかも知れない錆よりは比べ物にならないほど少ないのだが。確かに、コルベットは疑いもなくもっとも長もちのする車の一つなのである。

 全ての年式のコルベットにおいて、ブレーキライン、フューエルパイプ、そして排気パイプが錆びるであろう。理想的にはこれらは全てステンレス・スチール製のものに交換されるべきである。確かにこれは高価だが、ステンレスのエキゾーストとマフラーは決して錆びない訳だから、錆びない車に取り付けるには極めて論理的な選択だと言うしかない。

 1963年から1982年式のシャシーフレームは時としてリアホイールの真ん前、リアトレーリングアームのフレーム側取り付け部ポケットのところで錆びる傾向がある。これは状況によってはボディを載せた状態のまま直す事も可能だが、ボディを下ろした方がずっと簡単な作業になる(主要な8本のマウンティングボルトを外す事によってボディを下ろす事が出来る。ただし他の沢山の作業を別途に行う必要があるが)。

 1953年式から1974年式までの全モデルにおいてフューエルタンクが通常は内側から錆びる。1975年式からは衝突安全性を向上させる目的でタンク内にセーフティパッドが装備された。これによってタンク内の錆の問題は解決された。

 1963年式から1982年式のモデルにおいてはラジエーターサポートフレームが錆びる傾向がある。これは修理困難な上に交換するのは高価である。しかしながらこれはコルベットのフロントエンドの構造体としてはキーコンポーネントであり無視する事は出来ない。なぜならここがコルベットのボディのフロントエンドがシャシーフレームに取り付けられているまさにその場所だからである。

 最も錆の存在の特定が困難、もしくは不可能な二つの場所は両側のウィンドウピラーである。水はピラーの外側を覆うステンレス製のトリムの裏側を流れ、ウィンドシールド接着剤の裏側のピラーを腐食させるのである。この問題はウィンドシールドに降り掛かった水が車内に漏れ入ってダッシュボードの後ろからポタポタ落ちてくるという症状となってあらわれる。もしウィンドシールドを交換する予定があるならその時こそ腐食したピラーを修正して溶接する理想的なタイミングである。また、フェンダーの後ろで見えなくなっているピラーサポートのベース部分も錆びることがある。これの修復方法に関しては本書の関連記事を参考にされたい。

 1976年以降のモデルは半分鉄製のフロアを持っており、もしウィンドシールドピラーがずっと漏れていたのならこのフロアも錆びているだろう。もしドレイン穴が塞がっていたりしたらドアもまた、同じく1968年式から1982年式において錆びやすい部分である。ドアを構成する部品のうちFRPで出来ているのは外側のドアパネルのみなのである。ドアは安くないし、修理するのも簡単ではない。




法則8
錆びたキャリパー・ボアは絶えざる頭痛の種である

 コルベットにおいてもっとも悪評高い錆びは1965年式から1982年式の前後輪すべてに使われている鋳鉄製ブレーキキャリパーの内部に発生する錆びである。このブレーキは1.5トンものコルベットを高速走行から制動するのに充分以上のパッド面積を持った立派で力強いものである。もしブレーキフルードが定期的に交換されているならこのブレーキは多分永久にだってもつだろう。だが残念な事にほとんどのオーナーがそのようなマメな作業をしないので、現在ではこれらのブレーキを再生するビジネスは数百万ドル規模の産業になってしまった。

 1984年以降のコルベットのアルミ製キャリパーと違って、1965年式から1982年式のコルベットは鋳鉄製のキャリパーをもっている。ブレーキフルードには空気中の水分を吸い込むという特性がある(その理由は私に聞かないでいただきたい。GMかフォードかクライスラーに聞いていただきたい)。各々のキャリパー内部の四つのスムーズなシリンダーを錆びさせるのはこのフルードに吸収された水分なのである。そしてこれがキャリパーピストンのシールの機能をスポイルする。

 ブレーキフルードが漏れていなくて外観上は乾いているように見えるキャリパーでもシリンダーボア内部に深刻な錆を抱えている場合があるので充分注意したい。この種のキャリパーは続いてソフトペダル現象(訳者註:ブレーキペダルがフニャフニャになる事)を引き起こしてこれはブレーキが全くダメになる時まで続く。内部腐食したキャリパーにおいてはブレーキペダルを離すごとにピストンシールからエアを吸い込むがブレーキペダルを踏み込んだ時にはフルードは漏れない。1965〜1982年式のコルベットを新しく買った人は、ブレーキペダルがフニャフニャになったりマスターシリンダーのフルードレベルが上昇したりするのでまるで狐につままれたような気になる事があるはずである。キャリパー内部にエアが吸い込まれてフルードを押し返しているというのがその症状の説明となる。

 同様に、ショップが「全てのキャリパーのシールは交換したのでブレーキは大丈夫だ」と保証した場合、確かにその作業したというのは本当であろうが、多分100マイルかそこら走っただけで再びブレーキペダルはフニャフニャに戻ってしまうだろう。

 これらの問題に対する解決策は1970年代中盤、ステンレス・スチール・キャリパーの発案によってもたらされた。これらは実際にはムクのステンレスで出来ているのではないが、古いキャリパーのシリンダーをボアアウトしてステンレス・スリーブを圧入して新品同様に再製作しているのである。必ず Vette Brakes & Productsの製品の様な名の通った製品を取り付ける事。シリコンブレーキフルードとステンレス・スチール・キャリパーの組み合わせ、これのみがコルベットのブレーキトラブルに関する唯一の恒久的な修理方法なのである。




法則9
悪いL82よりはむしろ良いL48を選べ

スペックにとらわれ過ぎない事。コルベットの本を全て読破し、あなたの望むオプションのついた希望の年式を思い描いて、そしてそのコルベットを求めて望みの薄い探索に乗り出すのはいとも簡単な事である。だが、それではあなたは最上のコルベットを見逃してしまうだろう。1975年式から1979年式のコルベットをここクラレモント・コルベットに買いに来る顧客のうち驚く程多くの人が「L82のハイ・パフォーマンスエンジン・オプションのモデルじゃなきゃ嫌だ」とほざく。だが年式にもよるが上記期間内において、このエンジンは生産台数のおおよそ10%から30%足らずのコルベットに搭載されているに過ぎない。だからL82エンジンを探している顧客は往々にしていくつかの素晴らしい車を見逃していたりするのである。L82エンジンは確かにより高い圧縮比を持っていて、エンジン内部にはいくかの素晴らしい部品が使用してあり、鉄板プレス製バルブカバーの代わりにフィンのついた合金製バルブカバーをもっているが、だからといってこのエンジンによってもたらされる喜びがその車の他の箇所の悪いコンディションを埋め合わせるという訳ではないのである。

 私はずっと、ボディカラーがエルクハートグリーン(Elkhart Green)で、インテリアはサドル色(訳者註:乗馬用の鞍の色にちなんだ色らしく要するにタンの事のようです。資料によればこの年式においてはサドルと名のつくインテリアはダーク・サドルとミディアム・サドルの2色あった様です)、ミッションはマニュアル4速、パワステ付きでエアコンなし、という仕様の1973年式ビッグブロックのコンバーチブルが欲しかった。だがそんな仕様の車はついに一度も見なかったし、そればかりかこれらは全てレギュラープロダクションオプション(訳者註:Regular Production Option、いわゆるRPOですね)ではあるがこんな組み合わせの車は一台も作られなかった可能性もある。そしてもし私がついにこの73年式を見つけたがそれは非常に走行距離が伸びていてフレームにいくつか錆びがあったとしよう。そして同時にそれと全く同じ値段のミントコンディションのTH350オートマチックのついた74年式のコンバーチブルがあったとする。この場合買うべきは後者の方なのである。

訳者註:著者の言うこの73年式の仕様は半分ジョークでしょうが、面白いので“Corvette Black Book”で調べてみました。その結果73年式には確かに上記のRPOは個別には存在します。だから実際にこの組み合わせが存在した可能性はあります。エクステリアのエルクハートグリーンはコード947ですがその場合のシボレーのサジェステッドインテリアはちゃんと黒かミディアム・サドルの指定になっています。この年式の総生産台数は30,464台。そのうちLS4ビッグブロック搭載車は4,412台。4速MT搭載車は3,704台、エアコンなしの車は8,886台。エクステリアがエルクハートグリーンの車の生産台数は不詳。インテリアがミディアム・サドル色の車の生産台数も不詳。 この年式はコンバーチブルは僅か4,943台しか作られなかったそうですがこの4,943台のうち上記の部分集合を全て満たす車は何十台かは作られたかも知れませんね





法則10
コルベットは情熱だ!だからこれまでの9つの法則を無視せよ!

 オーケー、私はいさぎよく白状しよう。実はそれでも私は上の法則9に出てきたビッグブロックの1973年式の方を買うだろう。たとえどんなにレストアに金がかかろうとも。ビッグブロックというのは正しくレストアするにはとても金のかかるエンジンだしマニュアルミッションはコルベットにおいてはオートマよりもずっと多くのトラブルを経験するものなのだが。

 あなたは自信を持って良い、どんなコルベットであろうと、コルベットはそれと同じ価格の他のどんなスポーツカーよりもうんと深い満足を与えてくれる車であるという事に関して。一度でもそのコルベットの美点を経験すれば、あなたは決して後悔する事はないだろう。

 Go get your 'Vette!
 行け!そしておのれのコルベットを手にいれよ!


 いかがでしたでしょうか。今回は訳していませんがこの本では他に各年式ごとの特徴、見るべきポイント、各種チェックポイントについても述べられています。また、後半のレストア解説も相当なものです。ざっと見た感じ、何かアメリカ的でないというか、雑誌 "Corvette Fever" などでよく見かけるレストア記事とはまた一味違った内容です。イギリス人は古いジャガーやオースチンヒーレーやロールス、ベントレーなどをレストアするのが好きなようで独特の手法があるようですが、この本にはそんなイギリス的な匂いを感じました。私はこの本を強くお薦めします。

this contents added at Nov. 2000