
13) "Stovebolt" and "Blue Flame" (2)
12)に続いて「ストーブボルトシックスエンジン」の話。なかなか面白いです。出典は、
75years of Chevrolet
by H. Dammann
MBI Publishing Company
です。
興味を覚えた方はどうぞ原書をamazon.comなどでお求めになって是非続きをお読みください。
1928年のフォードA型の登場は一大ニュースとなった。今度はシボレーの番である。
シボレーがその新型六気筒エンジンで謳った文句は「四気筒の価格で六気筒を」とい
うものであった。このエンジンはまれにみる長寿命を誇り、後に愛情をもって「キャ
スト・アイアン・ワンダー(The Cast Iron Wonder)」と称されることとなった。そのエンジンの成功はシボレーが500万台目の車をラインオフした18カ月後の6月25日に600万台目の車を生産したという点にも現れている(訳注:1911年に創立されたシボレーはどうも1929年の6月には累計600万台の車を製造していた様です。余りに凄い数字なので何かの間違いではないかと思いいくつかの本を調べたところ1930年代の生産台数の記録があってそれによれば30年代も年間60〜70万台で推移してますのでどうも上記記述は間違いではない様です。1929年といえば昭和4年。それにしても物凄い数字でこの年代にこれだけの車を必要としたアメリカの産業規模・経済規模の大きさ、そして市民生活の程度にはいささか唖然といたします)。
旧型の四気筒よりほんの少しだけ製造コストの高いこのニューエンジンは194キュービックインチ(約3,177cc)、2600回転で46馬力を発生した。最新の頭上弁(OHV)方式でボア・ストロークは3-5/16インチ×3.75インチ(84ミリ×95ミリ)だった。鋳造の鉄製ピストンと非圧送式潤滑方式を採用することによってコストは低く抑えられた。
クランクシャフトは三つのメインベアリングに支えられ、メインベアリングとカムベアリングは重力落下オイル方式で潤滑されコンロッドはオイル掻き上げ方式で潤滑
された。クランクシャフトには潤滑用のドリル加工はなされていなかったのでコンロ
ッドにオイルを圧送することは出来なかったのである。シボレーはこの設計を1953年、パワーグライド装備のモデルに至るまでメンテしながら使い続けた。またこのエンジンはアップドラフトタイプのカーター製キャブレターに燃料を供給するためのポンプを装備した最初のシボレーだった。ついでに言えばキャブに加速ポンプを装備した最初のモデルでもあった(訳注:『アップドラフト』って言うんだからダウンドラフトの反対、つまりマニフォールド内の負圧を検知して上方向にミクスチャーを送り出すキャブなんでしょうね)。
優れた設計のウォータージャケットのおかげで最大のライバルであるフォードA型
がしばしば見舞われていた冷却とオイル消費に関する問題は全然シボレーには無縁のものだった。ヘンリー・フォードに「客がそんなにシリンダーが欲しいのなら我々は客にシリンダーをたくさん提供しようじゃないか」という有名な言葉を言わしめたのは他のどのエンジンよりもシボレーの六気筒だったのである。そしてこれがその後有名な1932年のフォードV8に発展する特急プロジェクトの原因となったのである。
(後略)