●一番大事なこと?
ここでいうアライメントとは一般に言う「ホイールアライメント」の事です。個人的な意見としては、C3のハンドリングを安定したものにするにはアライメントを適正なものにする事が一番重要ではないかとさえ考えています。
私は購入後2年以上にわたって自分のC3、ゴージャスジョージ号の劣悪なるハンドリングに悩まされてきました。ブッシュ、ボールジョイント、タイロッドエンド、スプリング、ダンパー、ステアリングギアボックス、パワステ一式など考えられる限り?の部品を交換したのに相変わらずゴージャスジョージ号のハンドリングはコンフュージングなままでした。「もうこのクルマはダメなんだろうか?」と悩んでいたところ、知人に「オメー、一度でもアライメント調整したことあるんか?」と言われたのです。エッ、アライメントなんてトーインが合ってりゃいいんと違うのか、と思った無知な私でしたが、他にやりようも無かったので半信半疑ではありましたがアライメント調整をすることにしました。
結論を言うとこの四輪アライメントテスターに載せて行ったシム調整によるアライメント調整が私を「劣悪で危険なハンドリング」から救ってくれました。リアのシムを持って無かったのでリアのトーイン値は余り良くない数値のままキャンバーをいじったのみですがそれでもフロントのキャンバー、キャスター、トーインを調整した霊験はあらたかで「これがオレのクルマ?」という程の変化を見せました。その時の私の気持ちといったら例えて言うならば、
●全国から続々届く喜びの体験談その1・Hさんの場合●
今まで自分のクルマはどんなに努力してもダメでもう自分はダメなんだ、絶対明るい人生なんてやってこないんだとなかば捨てバチになって本当に暗い日々を過ごしていました。そんな時友人の紹介で『アライメント調整友の会』を知ったのです。最初はよくあるいい加減な新興宗教みたいなもんだろうと警戒していたのですが友人の真剣な勧めもあって、エーイ、ダメでもともと!人生は一度きり!と考えて思い切ってアライメント調整に挑戦してみたのです。するとどうでしょう、あんなにヒドくて危険だった性向はカゲをひそめ実に素直な素晴らしいハンドリングのクルマになったではありませんか。アライメントの神様はいらっしゃるのですね。お陰さまで今では以前の暗い日々がウソの様に人生に前向きに取り組み、充実した毎日を送っています。これでもうギャルにもモテモテです。
私は全国の皆さんに『アライメント調整友の会』への入会をお勧めします。未来が開けますよ、イェーイ!
(愛知県在住・男/独身) |
という程の高揚ぶりでした。ですからハンドリングに悩む皆様には最終的にはアライメント調整を一度しっかりされる事をお薦めいたします。おそらく「おお、こんなに違うのか!」と驚かれるのではないかと思います。というのもトーインは車検で見ますので余り問題ないかと思いますが、キャンバー、キャスターに関しては一体いつアライメントテスターにかけたのか判らないクルマも多いのでは無いでしょうか。極端な話、4年、5年もの間、やったことはトーイン調整だけ、というクルマだって珍しくないと思います。もしあなたがオーナーさんで過去に一度もアライメント調整をした事がないのであれば、今後のクルマいじりの基準点にもなりますので一度調整される事をお勧めします。
●ただし・・
ただし、アライメントを取る前に解決しておかねばならない問題があります。正確に言うとアライメントを取っても意味がない場合があるのです。それは次の様な場合です。
1)コントロールアーム類のブッシュがヒビ割れていたり一部脱落していたりするクルマ(キャンバーロッドのエンドブッシュも含みます)
2)フロントサスのボールジョイントが摩滅気味のクルマ
3)タイロッドエンドにガタが来ているクルマ
4)アイドラーアームにガタが来ているクルマ
5)スプリングがヘタっていて左右で車高差のあるクルマ
6)ハブベアリングにガタが出ているクルマ
以上の様な症状が出ているクルマの場合は嫌な言い方になりますが「アライメント屋さんでアライメントを取るだけ金の無駄」という事になります。上記の1)〜4)に相当する方はまず先に「b) ブッシュ類とステアリングリンケージ」の方から読んで下さい。
●ホイールアライメントの復習

ここで余りに当たり前の事ではありますが念のためにキャスター、キャンバー、トーインについての復習をしたいと思います。といっても私には難しい理論は全然判らないのでそこは無視しまして、あくまでアライメント調整の対象となるそれぞれの用語が具体的にどこの角度の事を指しているか、という確認にとどめます。
●キャスター
これは図の通り、クルマを横から見てタイヤ中心から接地面を垂直に走る垂線とキングピンの中心線(C3の場合上下のボールジョイントの中心を貫く線、前タイヤ操舵の回転軸ですね)とで作られる角度、これをキャスターと呼びます。これはオートバイに乗る人なら判りやすいのではないでしょうか。キャスターもキングピン傾斜角だのキングピンオフセットだの聞き慣れないファクターが関係していて難しい本を読み出すと一筋縄ではいかないようです。
ですからキャスターに関しては「前タイヤのステアリング回転軸を横から見た時の垂直線に対する傾きの事。これが大きいとハンドルを切った時の反応が良くて、また、ハンドルが真直ぐに戻ろうとする力も大きくなる。でもハンドルを切る力自体は大きな力が必要になる」くらいの事を覚えておけばいいのではないでしょうか。
●キャンバー
これも図を参照して下さい。クルマを前から見てタイヤが垂直線に対してどれくらい傾いているか、というもの。タイヤの上側が垂直線に対して内側に傾いていればネガティブキャンバー、外側に傾いていればポジティブキャンバー。ものの本によると大昔のクルマは空車停止時と乗車走行時の足回りの動的変形が凄かったのでポジティブキャンバーがついているのが普通だったそうです。が、現在はおおむねコーナリング性能を重視してネガティブキャンバーの方が主流らしい。その理由はコーナーを回る時は当然、外側のタイヤは沈みます。その沈み込んだ状態でタイヤにもっともグリップしてもらおうとしたら一番いいのはタイヤが路面に対してなるべく垂直近くになっている事である(接地面積が大きいから)。という訳で「コーナリングで沈んだ時になるべくタイヤが垂直っぽい位置になる様にする」と必然的に静止時には「前から見てハの字に傾いている」状態になる、というのがネガティブキャンバーの由来の様です。様です、というのはここらも読む本によって結構話が違ったりしますし難しい本はとことん難しいことが書いてあって理解不能ですし、何よりも私はテストドライバーでも何でもないので実験したこともないから判る訳ありません。
だからキャンバーに関しては「前から見てタイヤがハの字なのがネガキャンでコーナリング重視、でも傾きが大きい程タイヤが偏磨耗しやすい」くらいの事を覚えておけばいいのでは無いでしょうか。
●トーイン
これは図の通りクルマを上から見て、タイヤが進行方向に対して内側を向いているというものです。これも実は私、良く判りません。本によっては「キャンバーがついていると直進時なのにオートバイのタイヤみたいに傾いた方向に曲がろうとする力がかかる、それを或る程度キャンセルするのに必要だ」と書いてあったりあるいは「クルマは走り出すとタイヤが外側に向こうとするから静止時に少しトーインをつけておくと走り出した時にちょうどタイヤが真直ぐむいて良くなる」みたいな事が書かれてあったりします。テストドライバーではない私には真実を知るすべもありません。
ですからトーインについて私は「左右のタイヤの進行方向に対する内股具合の事。どうもこれがないとイカンらしい」という理解をしています。
何だか心もとない話ですがこれらの各ファクターの意味に付いてたとえ正確な理解には及ばないにせよ、押さえておくべき事は「これらの数値が指定値内にないとワシらは地獄を見るで」という事でありましょう。
●C3のアライメント調整

それでは一般論が終ったところでC3ではアライメント調整の仕掛けがどの様になっているかについて御説明しましょう。
●フロント
フロントタイヤにおいては、
・キャスター
・キャンバー
・トーイン
の三項目の調整が可能です。ただし、キャスターとキャンバーについては調整部分の構造上両方とも動いてしまう場合が多いです。
キャスターとキャンバーはアッパーコントロールアームの回転軸(クロスシャフトという)をフレームにボルト止めするところ、ここにシムを挟むことによって調整します(ロアアームには特に調整部分はありません)。左の図を御覧下さい。非常に簡単な仕組みです。シムを挟むとアッパーコントロールアームの取付部分は矢印方向(車体中心)に向かって移動する事になります。これはつまり前から見てキングピン傾斜角を内側に移動させますから「ネガティブ方向にキャンバーがつく」という事になります。
また次の図の通り、コントロールアーム(の回転軸たるクロスシャフト)は2本のボルト&ナットでフレームに締結されております。この両方に「シム」を挟むことができる訳ですがこの2箇所のシムセットの厚味を前後で変えることによって「キャスター値」をコントロール出来ます。具体的には、
→進行方向に対して前側のシムを抜く
→進行方向に対して後側のシムを足す
のどちらかの作業になります。どちらの作業を行ってもアッパーコントロールアームのボールジョイントの位置が「進行方向に対して斜め後ろ」に移動します。それに対してロアコントロールアームのボールジョイントの位置は不動ですから結果として「キャスターが増大する」という訳です。ではどちらでも結果が同じだと言うなら、シムを「抜く」のか「足す」のか何を基準として決めるのかというとそれは、「キャンバーの値がより良い位置に来る方」の様です。
図を見て考えてみると「キャスターを適正値にしようと意図して」前側のシムを抜くとキャンバーは必然的にポジの方に動き、後側のシムを足すとキャンバーは必然的にネガの方に動くことが判ります。しかもその動きはツイストしていますので実際には三次元で座標が動いていることになり、考えてみるとこれも厄介な話です。
実際、四輪アライメントテスターで調整作業している現場を見てみるとアライメント調整というのは最終的には「いくつかの要素の良い意味での妥協的産物」である事が判ります。大事なのはその「妥協」をなるべく高いポイントに持っていくという事です。
モニターを見ながら「キャスターがこれこれでキャンバーがこれこれだから前のシムを一枚抜いて後ろに足そう」と決めます。で、その作業を行うと「アチャー、ちょっとネガが付き過ぎたかな?」とメカのオジサンが呟きます。「じゃあ両方に1枚ずつ足そうか」とオジサンは作業を続けます。すると不思議なことに次は「ありゃ、キャンバーは良くなったけどキャスターがまた変わっちゃったよ」と言う事態になるのです。挙げ句の果てに「もう少し薄いシムがあるといいんだけど無いからこれ以上は煮詰められないね。まあこんなもんでしょ」なんて言われたりする訳です。また費用との関係も無視出来ません。何度もシムの組み合わせを変えてトライすればひょっとしたらもう少し良い値が出るのかも知れませんが大体アライメントショップは「ワンタッチ¥1,000」みたいな事言います。つまり一度ネジを緩めて締めるのに¥1,000かかるという事ですから大体のセッティングが出た後、「もう少し納得したいから」ってんでもう一回、もう一回、とトライを繰り返しているとすぐ1万円くらい飛んでしまう訳です。ここでも妥協というものが必要になってくるでしょう。自分の経験も含めて見聞した範囲ではアライメント調整に3〜4万円くらいかかる事は珍しくないようです。私のC3仲間では半日がかりで9万円払った人がいます。
以前、大変クルマに詳しい人がアライメントショップで立ち会い調整している現場を見たことがありますがこれは見事なものでした。モニターを見ながら「じゃあ右前のシムを抜いて」とか「でもこれ以上やるとキャンバーに問題出るよね」みたいな事をメカの人と相談、納得しながら堂々と仕事を進めていくのです。メカの人も「ここの値はこうであちらの値はああですので何々をいじってもよろしいでしょうか?」なんてその人にうやうやしくお伺いを立てたりしています。しかも仕事終了後値引きまでしてもらっているではありませんか!「お客さん、アメ車はこんなもんですよ」と言われて言い返す言葉が見つからず、高い金払ってスゴスゴ引きあげた私とはエライ違いです。この時私は「人間、無知だと尊敬されないばかりでなく足元見られてボラれる」という社会生活全般を貫く真理を学びました。皆さんも注意して下さい。
トーインも非常に簡単な仕組みです。図の様に左右のタイロッドの両端のロッキングクランプのネジを緩めますとタイロッド自身が回ります。タイロッドの両端は管の内側に雌ネジが切ってあって、そこに雄ネジを切ったタイロッドがねじこまれている訳です。ですからクランプを緩めた状態でタイロッド自身をどっちか(失念)に回すとタイロッドエンドがせり出してきてタイロッドは伸びたのと同じ事になり反対側に回すとタイロッドエンドはタイロッドの中に引き込まれていきますので結果としてタイロッドが縮んだ事になります。この様にタイロッド自身が長くなったり短くなったりしますと必然的にタイヤはボールジョイントを中心に内向いたり外向いたりしますのでそれで適正なトーインの価を出す訳です。ちなみにこの仕掛けは「ターンバックル」と言っておよそこの地球上の自動車のほとんどが使用している解説するのも恥ずかしいくらい当たり前の仕掛けです。でも当ホームページは「C3初心者の方のために」がウリですし、以前スカイラインGT-Rの凄いチューンドに乗っている人と話していたらその人がトーインの仕掛けを知らなかった、という事もあったので一応解説してみました。もしこれを読んでおられる方で実はトーインの調整方法を初めて知ったと言う人はその事は黙っていましょう。そして100年も前から知っていた様な顔をして堂々と生きていきましょう。尚、アライメントのうちトーインの話を最後に持って来たのはショップマニュアルに「トーインはキャンバーとキャスターを調整した後に調整しろ」と書いてあったからです。そういうもんらしいです。
余談ですがこの1968年にC3がデビューした時から一度も変更されなかったタイロッド(いや、実は1963年デビューのC2と同一品らしい)に関しては現代のレベルでは「強度不足」という事は良く言われております(材質、太さ、両端にスロットがある、クランプベルトの造りがセコイなど)。対策品として良く知られているアフターマーケットパーツには"Vette Brakes and Products"の強化タイロッドがあります。これはノーマルの様な「すり割り+クランプ締め込み」ではなく、「すり割りなし強化スリーブ+大型ロックナット(アメリカ人は"Jam Nut"という)」というもので見るからに強そうです。私も人様のC3に試乗して「このクルマ、何かハンドリングがいいなあ」と思って下回りを覗いてみたらこれがついていた、という経験があります。インチアップなどされてハイグリップタイヤをつけられた方などは必須かも知れません。
さらに余談。ある時知り合いのメカニック氏のところに196?年のシボレー・インパラが修理入庫していました。私は漫然と修理を眺めていて「フロントサス回りが非常にC3に似ているな」と思いました。その事をメカ氏に告げると「うん、確かにこの頃のインパラのAアームなんてコルベットと同じじゃないかというくらい似てるんだわ」との事でした。その後色々と本などを読む内に分かったのですが、多分この年代のインパラのAアームとC2〜C3のAアームは同じものだと思います。"How to Restore Your Corvette"という本を読んでいたらこんな記述がありました。
ゾラ・アーカス・ダントフが1963年コルベットのシャシー設計をしていた時「もしそのクルマのフロントサスにシボレーの部品棚にあるヤツをそのまま流用するって言うんならリアサスを独立懸架にすることが出来るんだけどな」と言われたという話が残っている。
多分全体の予算の関係で新設計の独立懸架のリアサスを作るのならフロントは出来合いの他のクルマのやつを流用せざるを得なかったのでしょう。それで「じゃあインパラのやつでも使うか」という事になった模様です。この事から我等がC3のフロントサスはとてつもなく古くて保守的な設計であるという事がわかります。私は上段においてC3のアライメント調整の仕組みを、あたかも深遠な真理を解きあかすかのように大マジメな顔して解説しましたが実はこれは40年も前からある全く何の変哲も無い仕掛けなのです(ただ現在はストラット方式のサスペンションの方が大多数ですので逆に新鮮に感じられる方もおられるでしょう)。トヨタのメカをやっていた人の話ではクラウンなども先代だか先々代あたりまでこのような古色蒼然たる調整方法だったそうです。クラウンというクルマは初代の頃から非常にアメリカ車(特にシボレー)の影響の強い車でしたから、そこらの設計も綿々と受け継がれてきたのでしょうか。
勿論だからといってC3オーナーの皆さんは失望する必要はないのです。と言うのもこのフロントサスの方式はその後のC4でも最新のC5でも基本思想は同じまま受け継がれており調整方法も同じです。シボレーがこれだけ長期間にわたってこの方式を採用し続けている事からもこの方式には「細かいアライメント調整が出来る」「キャンバー変化のコントロールがやりやすい」(私の仮説)など、おそらく凡人には窺い知ることの出来ない巨大なメリットがあるのだと考えるべきでしょう。多くの自動車が過去100年にわたって四輪であり続けたのはなぜか?なぜ三輪車や五輪車が時代の主流とはならなかったのか?それは四輪というその形式が優れて合理的だったからです。かつてヘーゲルは理性的なものは合理的であり、合理的なものは理性的であると看破しました。そのことに思いをいたせばシボレーのダブルウィッシュボーンが過去40年にわたってこの形式を取り続けているのはそれが優れて合理的かつ理性的だったからだというのは火を見るより明らかです。ツメ切りなども時々妙に新奇なデザインのものが現れますがそれでも一番優れたツメ切りは過去200年間にわたって鍛えられ続けてきたあのどこの御家庭にもある形式の物ではありませんか。ですからC3のオーナーの皆様にはこのダブルウィッシュボーンの始祖鳥に誇りとプライドを持っていただきたいと思います。断じてこのウィッシュボーン方式はシボレーの技術者の怠惰と怠慢と自己変革を嫌い変化を憎む保守的な体質の産物などではないのです。私はそう考えていますし、そう信じています。そしてそうであって欲しいと祈ってさえいます。さあ、皆さんも私といっしょに祈って下さい。
(特別ふろく:C3使徒の日々の祈りの言葉)※註:ヒマな人向け |
天にいます我らの父よ、万能の主よ、どうかシボレーの技術者達が真面目に仕事して我々に安全な車を提供してくれますように。どうかシボレーの車が破壊と崩壊、失望と憤怒の代名詞となりませんように。天国にいるゾラ・アーカス・ダントフ様、あなたの下僕、忠実なる使徒であります我々に試練を課さないで下さい。オルタネーターが壊れませんように。ブレーキフルードが漏れませんように。日々安穏と喜びの内に生きられますよう。アーメン |
※自分のC3の整備状態に不安のある方は上の「祈りの言葉」をプリントアウトして部屋の壁に貼り、一日に二回(起床後すぐと就寝前)に口に出してお祈りをするといいでしょう。私の経験ではこれによりオルタネーターで1ヶ月、セルモーターで2ヶ月、デスビのインナーローターに至っては3ヶ月ほど寿命が伸びるようです。アーメン。 |
●リア
リアタイヤにおいては、
・キャンバー
・トーイン
の二項目の調整が可能です。
|
意外な事にリアアライメントはしばしば「フロントアライメントより多くの問題を引き起こしさえする」("How to restore your Corvette" by Richard Newton)のだそうです。私のコルベット仲間で某自動車メーカーで開発業務に携わっている人間にこの事について聞きますと「その通りだ」と言います。リジッドアクスルならそういう問題は起きないのでしょうがなまじ調整箇所があるため長い間には左の図のように車体中心線に対して左右のリアタイヤを結ぶリアアクスル軸があさっての方向を向いてしまっている事が問題になる、という事のようです。この図は少々極端ですが、それでも仮に駆動輪がこんなにあさっての方向に向いていては恐らくハンドルで「当て舵」をあてなければ車が真直ぐ走らないであろうことは容易に想像出来ます。そしてそんな車は当然コーナリングも右と左とで舵角が違ってきますからそんな車のフロントのアライメントを調整するという行為は確かに疑問です。 |
"How to restore your Corvette"にも、
アライメントショップの人間にフロントのトー調整を始めさせる前にリアが適正な状態に調整されているかどうかを確認する事
と書いてあります。それやこれやをツラツラ考えるに、どうやらC3のアライメント調整を始めるに当たってはまずリアのトーインから行うのが正しいようです。
ちなみにC3のリアタイヤの前後方向への位置決めをしているのはリアコントロールアームでこれは一応左右とも同じ長さで共にフレームのピボットにボルト止めされているので、上の図のようにリアタイヤがあさっての方向を向くのはリアコントロールアームのトーが狂っている場合がほとんどだと思われます(逆にこれが原因で無い場合はそれこそフレームの狂いやアームのピボットブッシュの損耗を疑わなければならなくなる)。
リアコントロールアームのピボット部分にはその左右に下左の図のように「シム」が何枚か共絞めされています(図では面倒だったので左右一枚ずつしか描いてませんが実際には何枚か挟まっています)。このシムがアームピボットの左右方向の位置決めをしていますのでこのシムを下右の図のように入れ替えるとそれによってアームピボット部分の位置が車体内側か外側かどちらかに移動します。これこそがトーの変化ですね。これによって適正なトーインを出す訳です。
世の中には「言うは易し、行うは難し」という言葉がありますが実はこのリアトーの調整はその見本の様な作業です。私も上の様なマンガ描いて「シム交換でリアトーの調整をしまショー」と脳天気な事を言っている訳ですが実はこんな無責任な話はないのであって、実際にはこのリアトーの調整はおおごとです。このシム調整箇所はコントロールアームの付け根、リアフレーム、ホイールアーチ根元のポケット部分にあるのですがそもそもその部分からしてタイヤを外さないと見る事すら出来ません。だから一度アライメントテスターの上に載せてリアトーを測って「おおヒデェ数値!」とか言いながらいったんタイヤ外してシム交換をしなければならないのです。で、苦労してシムの入れ替え作業を行って再度テスターにかけて「うわっ、やり過ぎた!」とでもなったらまたタイヤを外してシム入れ替えて、という作業が延々と続きます。アライメント屋さんに嫌われる訳です。
で、どうやってシム交換するかと言いますとまずコントロールアームのピボットボルトのナットを緩め、シム回り止めピンを抜いてピボット回りがゆるんだ状態でシムを抜き差しするのです(上左図参照)。ところがこれは私のC3仲間の体験談ですが、ピボットのナットの回り止めコッターピンが固着していて抜けない。ナットにスプレーをガンガンに吹かれていてレンチが入らない。ついでに妙に固い。何とかナットはゆるんだものの、シムが錆びている。シムの回り止めのピンが固着している。で、挙げ句の果てにはコントロールアームのピボットのブッシュがボロボロでとてもアライメントどころではない事がわかったのだそうです。
あなたがリアのアライメントを調整しようとした時にこれに似た事がおこる可能性は充分あります。つまりあなたはイボ痔を治すつもりで手術を始めたのに直腸ガンを発見して呆然と立ち尽くしている肛門科医の様な立場に立たされる可能性があるのです。
そうとは知らずにパンドラの箱を開けてしまわないために、事前にタイヤを外してフレームのポケットをよーく観察しましょう。汚れ具合、サビ具合、シムに挟まれたブッシュのヒビ割れ具合。多くの場合は観察した結果は決して好ましいものでは無いでしょう。70年代後半以降82年までのC3ならば新車の時のブッシュのまま無交換で間もなく21世紀を迎えようとしている可能性があります。いや、そちらの方が多いのではないでしょうか。ここが考えどころです。
1)思い切ってブッシュごと交換してしまう
もしあなたがそのC3に長く乗って楽しむつもりならばアライメント調整のためにまずブッシュ交換から始める、という選択があります。個人的な意見としては「4〜5年はこのクルマで楽しみたいな」と思われるのでしたら初期の段階でリアコントロールアームのブッシュ交換をしてその上でアライメント調整をされるのも決して無駄では無いと思います。何よりも気持ちがいいではありませんか、うまく行けば新車時のハンドリングが再現出来るかも知れないのですから。但し重労働です。部品代は全然大した事ありませんが(数十ドル)アームを外すまで結構な工数ですし、アームを外してからがまた大変です。私はC3仲間のS君のこの作業を手伝った事がありますが正直、ウンザリしました。古いブッシュを取り去るのは実質上ディスクサンダーによる破壊作業です。また新しいブッシュをはめてステーキング(ハトメ処理?の様なもの)するのも鍛冶屋みたいな作業です。こういうのは修理と言わずレストアと言うのでは無いでしょうか。よほど時間と根性のある人にしかお勧めできません。忙しい社会人ならまずプロに依頼せざるを得ないでしょう。
2)リアはキャンバー調整だけにとどめる
私がこの方法でした。私はオンボロなゴージャスジョージ号のハンドリングに悩み、色々な部品を交換したのですがいずれも根本的解決には至らず「やはり事故車はダメか」(私のクルマの左前部には大がかりな事故溶接痕があります)と、いよいよ追い詰められて「最後にアライメント取ってみて規定外の数値しか出ないようならこの車に乗り続けるのはやめよう」という悲愴な決意?でアライメント調整をした訳なのですが(それまでアライメント調整をしようという気を起こさなかったのは間抜けと言うしかありませんが)、その時の私の最大の関心はフロントアライメントのみでリアのアライメントがそんなに大事とは知りませんでしたし、また、リアのブッシュ交換がどんなに大変かわかっていたので「あきらめるかも知れないクルマのアライメントを取るためだけにそんなにお金はかけられない」という結構苦渋の?選択だった訳であります。
それでも前述の通り大変な効果がありました。私にとっての幸運はリアのトーがあまり狂って無かったことです(事前に私なりに必死に下回りを観察してフレーム後半部には事故の痕跡は見つけられなかったのとポケット内部が中程度の汚なさだったので「多分いいんじゃないか」という風に淡い期待をしてたのが珍しく当たりましたね)。リアのポケットが腐ってしまっている訳でもなくてフレームにダメージがなくて実際アライメント測ってみてもリアトーが少し規定外、という程度の場合ならその場はリアはキャンバー調整だけで逃げておいてフロントだけでもきちんとした数値が出るかどうかを見る、というのもあり、と言えるのでは無いでしょうか。
もちろんこれは「アライメントはリアから」というRichard Newton大先生の原則からは外れていますが誰もが常に理想的な作業を行なえる環境にいる訳ではありません。ですから前に書いた事と矛盾するようで苦しいですが、現実面ではフトコロ具合と相談して「リアのピボットのコンディションとトーインの数値はよーく覚えておいて」敢えて後日の宿題とする、という線もありかと思います。
リアのキャンバー調整については左の図の通りの仕組みです。デフ側とホイール側を「キャンバーロッド」という名のロッドでつないで横方向の位置決めをしています。このロッドの見かけ上の長さを変える事によってリアタイヤのキャンバー調整をするという仕組みです。デフの下にキャンバーロッドのブラケットがあります。ここが「エキセントリックシャフト」になっており、これを回転させる事によって見かけ上エキセントリックシャフトの偏心分キャンバーロッドが伸びたり縮んだりする訳です。で、キャンバーロッドが「伸び側」に動きますとホイール下側(正確にはスピンドルサポートという部品)を外側に押し出しますので結果としてネガティブキャンバーがつく訳です。簡単ですね。
私がC3のリアサスを見る度にいつも思うのが「華奢な造りだなあ」という事。大体前後方向の位置決めをしているコントロールアームにしてからが大して強度はなさそうですし、ピボットのボルトなんか実物を見ると「こんなに細くて大丈夫?」という感じの物です(もっともピボットに関してはボルトは単なる位置決めで全体的な強度はブッシュとカラー全体で出しているとも言えますが)。横方向に至ってはこの細いキャンバーロッドのみで位置決めです。何かこう、「ロッドが1本足りないんじゃないの?」という印象が拭えません。具体的にはハーフシャフト(ドライブシャフト)の下側だけでなく上側にももう1本キャンバーロッドがあってもいい様な気がするのですが皆さんはどう思われますか?そうすれば激しいコーナリング時にも上下2本のキャンバーロッドでガッチリ横方向のGを受け止めてコントロールアームピボットにも負担がかからなくていいんじゃないかと思うんですが?これは是非サスペンションの専門家に教えていただきたいところです。
以前何かの本で「動力を伝えるハーフシャフトそのものが横方向の応力を受け止めている」という記事を読んだ事があるのですがこれは私、「先生そりゃホンマですかいな?」と少々ギモンに思います。その理由は「現物のハーフシャフトを見る限りとても横方向の力を受ける様な構造に見えない」からです。まずハブ側、デフ側ともUジョイントのカップ部分を薄いフタの役目をする部品(アイアンの頃はUボルト&ナット)をミリで言えばせいぜいM6〜8、だから1/4"〜5/16"程度のボルト4本(上下2本ずつ)でハブ側はスピンドルのフランジに、デフ側はサイドヨーク側に止めているだけなのです。「こんなもんでスラスト方向の力をドカンと受けたらちぎれてしまうのでは?」と言う感じなのです。オマケにデフ側サイドヨークはデフの内部側でサークリップでスラスト方向(外側)に抜け出さない様に止めてあるだけなのですから「こんなサークリップにガンガン横方向のスラスト力かけたら変形脱落してしまうのと違うか?」と思うのですね。ですからハーフシャフトはやたら太いですがそれは動力を伝えるために太いのであって別にスラスト方向の力に対して強いようには思えないのですが・・。コーナリング時などにコントロールアームが左右方向に変形する力がかかったらハーフシャフトはその力を受け止めるんではなく、サイドヨークのスラスト方向のガタ分スライドする事によって逃げているのではないかと思います。このあたりの事情を御存じの方、色々と教えていただけると嬉しいです。
よくアメリカ人でビッグブロックのアイアンなんかで「オレのクルマはベンチで420馬力出したぜ」とか「バーロー、オレなんざ460馬力で1/4マイル12秒5よ」とか自慢しあってるオヤジ共がいますがその馬力をまず最初に車体側で受け止めるのがリアコントロールアームピボットのあの細いボルトかと思うと正直「エエンかいな、ちぎれてしまわない?」と思ってしまいます。
●具体的なアライメント数値●
それではアライメントが大事なのはわかったとして、具体的にどんなアライメント数値に合わせたらいいのでしょうか?下の表はチルトンのマニュアルから拾った数字ですが、チルトンも各年式のGMのマニュアルから拾ったのでしょうからまあいいでしょう。
Wheel Alignment Specifications
ホイールアライメント年代別諸元表
All measurements stated in degrees, unless noted
単位の表記のないものは全て「°」(度)でごんす
| |
Front Wheel Caster |
Front Wheel Camber |
Rear Wheel Camber |
Toe-in(in.) |
| Year |
Range |
Preferred |
Range |
Preferred |
Range |
Preferred |
Front Wheel |
Rear Wheel |
| 1968-70 |
1/2P to 1-1/2P* |
1P |
1/2P to 1-1/4P |
3/4P |
7/8N to 1/8N |
-- |
3/16 to 5/16 |
1/32 to 3/32 |
| 1971-73 |
0 to 2P** |
1P |
0 to 1-1/2P |
3/4P |
7/8N to 1/8N |
-- |
3/16 to 5/16 |
1/32 to 3/32 |
| 1974 |
1/2P to 1-1/2P** |
1P |
1/4P to 1-1/4P |
3/4P |
7/8N to 1/8N |
-- |
3/32 to 5/32 |
0 +/- 1/32 |
| 1975-76 |
1/2P to 1-1/2P* |
1P |
1/4P to 1-1/4P |
3/4P |
11/16 to 1/4*** |
-- |
1/32 to 3/32 |
0 +/- 1/32**** |
| 1977-78 |
2P to 2-1/2P |
2-1/4P |
1/4P to 1-1/4P |
3/4P |
7/8 +/- 1/4 |
-- |
3/16 to 5/16 |
1/16 to 1/32 |
| 1979-80 |
2P to 2-1/2P |
2-1/4P |
1/4P to 1P |
3/4P |
1/2N +/- 1/2 |
-- |
3/32 to 5/32 |
3/32 +/- 1/32 |
| 1981-82 |
1-3/4P to 2-3/4P |
2-1/4P |
1/4P to 1-1/4P |
3/4P |
0 +/- 1/2 |
-- |
1/4 +/- 1/16 |
1/16 +/- 1/16 |
*パワステ付きの場合は1-3/4P to 2-3/4
**パワステ付きの場合は1-1/4P to 3-1/4P
***1976モデルは7/8N +- 1/4
****1976モデルは1/16 +- 1/32 inch
Nはネガティブ
Pはポジティブ
●なぜ年代によってアライメント値が違うのか?
上の表によると、年式によって微妙に数値が異なるのが少々不思議な気もいたします。というのも1968〜1982のC3の足回りの主要部品は基本的に同じ部品だからです。考えてみるにこれはつまり「タイヤ側の変化に対応した」という事ではないでしょうか。表では例えば1977年を境に推奨キャスター値が1度から2-1/4度へガクンと大きく変わっています。ラジアルタイヤが一般的になってきたのは確か1970年代後半からだったと記憶していますからこれは恐らくラジアルタイヤの特性に併せてキャスターをいじったのではないでしょうか?つまりこの頃からタイヤのグリップ力や断面形状(扁平率など)、横剛性、などが全然違ってきて数値を変えざるを得なかったというような事情でもあったのでしょうか。そういう風に考えると「この表に忠実過ぎるのは問題」かも知れません。例えば60年代後半から70年代初頭にかけては確実にバイアスタイヤだったと想像できますが現在ではもう適合サイズのバイアスタイヤは入手不可能です。必然的にラジアルタイヤにならざるを得ません。そうなると「このクルマは71年式だから」と、あえて上の表の該当年式のアライメント数値を現代のタイヤにあてはめる事が適切なのか否か、という話が出てくる訳です。
アメリカ人なんかがC3のアライメントに関してディスカッションしているのを読んでみてもそこで話題になっているのは「用途」(オートクロスとかストリートユースとかレーストラックとか)であって「年式」は特に問題にされていない様子なのです。ですから私は個人的には「ラジアルタイヤを使うなら最終型近辺のアライメント値を使用するのが適切」なんではないかと考えています。実際のところはどうなんでしょうかね?
●ファクトリースペックは絶対か?
上の表の様なファクトリースペック、つまりGMがマニュアルで指定してきた数値は絶対なのでしょうか?結論から言うとファクトリースペックを神の御託宣の様に考える必要は無く、「それを参考にしつつ自分の用途に合うように少しずつモディファイするのが良い」と言えそうです。
ファクトリースペックは「最大多数の為の最大幸福を目指した一番無難なセッティングである」事を特徴としています。ですから直進性、コーナリング、高速安定性などをそれぞれ中庸で無難な、つまり日常の使用に支障の無い特性に収めてあるという訳です。でももしあなたが「オレは直線しか走らん」あるいは「オレはコーナーしか走りたくない」という人ならばもっとその用途に適した別のセッティングがある筈なのです。以前何人かのアメリカ人のアライメント値を見たところ、結構ファクトリースペックと違う様でした。様でした、というのはそのメールをどこかにぶっ飛ばしてしまって手元にはないからです。しようがないから"How to Restore Your Corvette"でリチャード・ニュートン大先生が、
様々な目的に応じた数多くのアライメントセッティングというものは明らかに存在する。中でもディック・ガルストランドがストリートユース用に推奨するアライメントはおそらくベストの数値であろう。
と言い切って下さっているその数値を引用してしまいましょう。ちなみにディック・ガルストランドというのはC1コルベットで積極的にレースを始めてC2でル・マンに乗り込んで大暴れしたりしたコルベットのレースシーンにおけるビッグネームです。まずC1〜C3のオーナーならば足を向けて寝れない程の偉大なおじさんです。このガルストランド大先生の事は後日別のページで御紹介したいと思っております。
●ガルストランド大先生のアライメントセッティング
レーシングセッティング
| |
キャンバー(°) |
キャスター(°) |
トー(インチ) |
| フロント |
1/2ネガ〜1ネガ |
2〜3ポジ |
0〜3/16 |
| リア |
1/2ネガ〜1ネガ |
-- |
0〜1/4 |
オートクロス(ジムカーナ)
| |
キャンバー(°) |
キャスター(°) |
トー(インチ) |
| フロント |
1/2ネガ〜1ネガ |
1〜1/2ポジ |
1/8〜1/8 |
| リア |
1/2ネガ〜3/4ネガ |
-- |
0〜1/4 |
ストリートユース
| |
キャンバー(°) |
キャスター(°) |
トー(インチ) |
| フロント |
1/4ネガ〜1/2ネガ |
1-1/2 〜 2-1/2ポジ |
1/8〜3/16 |
| リア |
0〜1/2ネガ |
-- |
1/16 〜 1/8 |
このアライメントの中で一番特徴的なのは全てのセッティングにおいてキャンバーがネガであるという事です。GMオリジナルのセッティングにおいてはキャンバーが全てポジである事を考えると「おおっ、アライメントの秘密はここにあったのか!」と心の底から興奮したくなるのを一体誰が止められるでしょうか?ニュートン大先生も「自分はキャンバーを1°ネガよりゆるくした事がない」と言っておられますのでこのあたりはGMの指示値を無視してもいいのではないでしょうか。私ももちろん無視しております。堂々1/2°近辺のネガで日々走行しておりますが別に問題はありません。それよりも何かしらコーナーの走行性能が良くなった様な気(錯覚?)すらしております。恐らく上の「ストリートユース」くらいのアライメントにしておけばここ日本においても多分問題は出ないのではないかと思います。
●なぜ私のC3のハンドリングが改善されたか?
前述の通り私のC3、ゴージャスジョージ号のハンドリングはアライメント調整によって一変いたしました。それまで急ハンドルを切るとどこに飛んでいくかわからない危険なものだったのがその兆候がほぼなくなってしまったのです。不思議に思ってアライメント屋さんで貰ってきた測定データで調整前と調整後を良く見てみました。フロントタイヤについて以下、表にします。
フロントアライメント
Before & After
| 項目 | 調整前 | 調整後 |
| キャスター | 左 | +0.12° | 左 | +1.28° |
| 右 | +1.32° | 右 | +1.28° |
| キャンバー | 左 | -0.20° | 左 | -0.52° |
| 右 | -0.28° | 右 | -0.40° |
| トー | 左 | +0.37° | 左 | +0.10° |
| 右 | -0.5° | 右 | +0.10° |
調整前の値を見て嫌でも目立つのはキャスター値が左右ですごく違っている事です。右が+0.12°に対して左が+1.32°、つまり1.2°の差があった訳です。左右のキャスターの値の差の事を「クロスキャスター」と言う様ですが、ショップマニュアルではこのクロスキャスターは「1°以内にしろ」と書いてあります。この辺がクサいのではないでしょうか。キャスターとは主にコーナリングの性能に関係するアライメントだそうです。その特性が左右でバラバラだったという訳です。また、トーも左はトーイン、右はトーアウトになっている点もいかにも意味ありげです。これも直進性、そして左右のコーナリング特性に対して何か影響していたのではないかと思えるのです。「オオゲサな、ほんの少しの違いじゃないか、アメ車のアライメントなんてそんな微妙なもんじゃないって」と思われるかも知れません。私にも正直、数値を見る限り有意な差とは思えません。ですがこの僅かな差を修正する事によってハンドリングが改善されてしまったのはまぎれも無く私本人が経験した事実なので、私としては「アライメントはほんの僅かな差で天国と地獄くらいの差があり得ます」と申し上げるしかありません。
ちなみに上の表の数値表記は少しそれより前の表と違っています。まずトーインはトータル値ではなく「角度」で表しています。手元の'81ショップマニュアルを見るとトータルのトーイン1/16インチがホイール片側あたりの0.06°に換算出来そうです。1/8インチで0.12°、3/8インチで0.36°、5/8°で0.60°という数字が書いてあります。それで行くと上の表の私のクルマの+0.10°というのは1/8インチ以下なので少しトーインが不足気味ですね。
(アライメントの項おわり)