C3のVINコード


 VINの事を何も知らなかった私ですがネット上で知り合った'72アイアンに乗っておられるAnnyさんから「C3のVINは代々こうなってますよ」という資料をいただきまして(Annyさん有難うございました)、「ほう、こんなにもバラエティのあるものなのか」といたく感心しまして、その後"Catalog of Corvette ID Numbers"や"Corvette Black Book"などで調べるとあるわあるわ、実に色々な識別記号があって困惑しました。今回はあまり深く突っ込まず、一般的なVINに関してテキトーにまとめました。まとめ方は大ざっぱですが書いてある事実そのものは正確な資料になっていると思います。また本ページはAnnyさんにいただいた資料を基本とさせていただいています。本当に有難うございました。
 余談ですが初代コルベットあたりからVIN(正確には当時はシリアルナンバーと呼んでいた)表記の変遷をたどってみますと1953年(C1デビュー)当時は全10ケタ、番号内にメーカー(メイク)表示すらなし。1963年(C2デビュー)では全12ケタ、ボディ形式くらいは表示するようになったものの相変わらず生産国はおろかメーカー表示すらなし。1965年で全13ケタ、この頃からやっと番号内にメイク(ディビジョン)の識別数字が入って1981年に入って国際式表記といいますか、生産国、メーカー名、メイク(ディビジョン)名がわかってチェックディジットの入った17ケタの現行のVINになっています。何だかアメリカ国内で勝手にメーカーごとでシリアルナンバーを打っていたのが段々と世の中の変遷と歩調を合わせて国際的な?表記に変わっていく過程が感じられて面白いです。ここではC3のみに限って調べてみました。

●C3のVINは年代別に主に3種類ある
 C3のVIN表示を大きくわけると、次の3つに分かれます。

1)1968年〜1971年
2)1972年〜1980年
3)1981年〜1982年

 それでは以下、この3つの年代順に見てみましょう。

1)1968年〜1971年
場 所:
左Aピラーのところ。ウィンドシールドごしに見える。全13ケタ。

解 釈:
これはシボレーのコルベットの2ドアスポーツクーペで1968年にセントルイス工場で製造されたその年式の16495台目のクルマである。詳細は下の表を見てちょんまげ。ちなみにこのVINは私がすんでのところで今の'81から買い替えそうになったアイアンのものです。今頃誰かの手にわたってすこやかに過ごしていることでしょう。


'68〜'71: 各キャラクター(数字/英文字)の意味するもの
I. GMの中でのディビジョン 1= Chevrolet
II. シリーズ名 94=Corvette
III. ボディスタイル 37=2ドアスポーツクーペ
67=2ドアコンバーチブル
IV. モデルイヤー 8=1968
9=1969
0=1970
1=1971
V. 製造工場 S=St. Louis(セントルイス工場)
VI. 通し製造番号 68年=400001〜428566
69年=700001〜738762
70年=400001〜417316
71年=100001〜121801

 現代のVINに比べれば相当のどかなVINであると言えます。それでも50年代のC1の頃のVIN(シリアルID)などは10ケタしかなく、VINだけではメーカー名もボディタイプもわからず、車種、年式、工場、製造番号くらいしか判らなかったのですからこれでも進歩した方なのかも知れません(但しシリアルプレートに"CHEVROLET"と大書してあるから問題はなかったんでしょう)。でもVIN自体には搭載エンジンを表すエリアがないのでスモールブロックなのかビッグブロックなのか、という様な事はエンジンナンバー及びエンジン側のVINで見るしかないようです。多分NCRSなんかではそこを見てオリジナルエンジンか否かを判断するんでしょうね。


1)1972年〜1980年
場 所:
左Aピラーのところ。ウィンドシールドごしに見える。全13ケタ。

解 釈:
これはシボレーのコルベットの2ドアコンバーチブル350ciで200馬力のエンジンを搭載していて1972年にセントルイス工場で製造されたその年式の8305台目のクルマである。詳細は下の表を見てちょんまげ。ちなみにこのVINは九州地方でさるオーナーさんに可愛がられている幸せなC3のものです。

'72〜'80: 各キャラクター(数字/英文字)の意味するもの
I. GMの中でのディビジョン 1= Chevrolet
II. シリーズ名 Z=Corvette
III. ボディスタイル 37=2ドアスポーツクーペ
67=2ドアコンバーチブル
※註)コンバーチブルは'75を最終として以後C3最終型まで製造されておりません
IV. エンジン識別記号 K=4バレル(QJ)キャブ、350ci、200馬力エンジンを表す
※註)エンジン識別記号は年式によって様々なので別表を御参照下さい
V. モデルイヤー 2=1972
3=1973
4=1974
5=1975
6=1976
7=1977
8=1978
9=1979
A=1980
V. 製造工場 S=St. Louis(セントルイス工場)
VI. 通し製造番号 72年=500001〜527004
73年=400001〜434464
※註)但し'73に限り24001〜28000までのシリアルは欠番で世の中に存在しません。理由は知らん
74年=400001〜437502
75年=400001〜438465
76年=400001〜436558
77年=400001〜449213
78年=400001〜440374
*Indy 500 Pace car=900001〜906502
79年=400001〜453807
80年=400001〜440614

 この年代は車種を表すのに「94=コルベット」としていたのものを「Z=コルベット」と1キャラクターに圧縮してその代わり5ケタ目に「エンジン識別記号」を入れる様になりました。アメリカにおいてVINという呼称での法整備は1970年に行われたと言いますから(詳細はVIN概論御参照)移行措置猶予期間を考えるとこの辺はその時に決められたのかなあと想像します。このエンジン識別記号は排気量、吸気形式、馬力などがわかるようになってますのでエミッションコントロールの話と関係があるのかも知れませんね。つまり将来的にエンジンの排気量やパワーや燃費で税金的な事などをコントロールしようと思うとそれらの基本的な情報がVINで判別出来れば当局側としては対処がしやすい、などと考えたのでは無いでしょうか。


1)1981年〜1982年
場 所:
左Aピラーのところ。ウィンドシールドごしに見える。全17ケタ。

解 釈:
これは原産国はアメリカ合衆国でGeneral Motorsのシボレーの乗用車で手動式安全ベルトのついているコルベットというシリーズで2ドアハードトップクーペでL81という名のQジェットキャブで350ciで190馬力のエンジンを搭載しておって1981年にセントルイス工場で製造されたその年式の957台目のクルマである、と。詳細は下の表を見てちょんまげ。ちなみにこのVINは私のゴージャスジョージ号のものです。


'81〜'82: 各キャラクター(数字/英文字)の意味するもの
I. 生産国 1= USA
II. 製造者名 G= General Motors
III. MAKE and TYPE
(ディヴィジョン)
1= CHEVROLET
IV. 安全システム A= 通常システム
B= オートマチックシートベルト付き
※註)オートマチックシートベルトって何なんでしょうね?
C= エアバッグ付き
V. ラインとシリーズ Y=CORVETTE
VI. ボディタイプ 87=クーペ2ドアハードトップ
※註)但し1982年製コレクターズエディションに限ってはこの番号が"07"になっています
VII.エンジンタイプ及びメイク 6=L81
8=L83
※註)別表も御参照下さい
VIII. CHECK DIGIT ナゾの数字。詳細は連邦規格訳文を御参照下さい
IX.モデル・イヤー B=1981
C=1982
X.製造工場 S=St. Louis(1981年式のみ)
5=Bowling Green(Kentucky)
XI. 製造工場シリアル番号 1981=40001〜431611(セントルイス)
1981=100001〜108995(ボウリンググリーン)
1982=100001〜125408
※註)100017は製造されていません

 C3では最後の二年間ですが最新?の全世界標準表示とも言うべき17ケタ表示になっています。これで生産国がアメリカであることも判りますし、GM製である事も判りますし、誰に聞いても「さあ、何の数字だろうね?」としか判らなかった例の「チェックディジット(Check Digit)」も入っています。ISOにおいては1977年にVINが採用されました。この時をもってそれこそアメリカは当然としてアフリカからヨーロッパ、日本から東南アジア、オセアニアに至るまでおよそ地球上のすべての地域にVINの先頭に使用するコードが設定されまして「テメーラ、どこで車造ってもいいけど造ったらなるべくこのエリアコードを入れた17ケタのVINを入れといてくれや」という世の中になってしまった訳です(特にアメリカへの輸出を考えているなら必須です)。1977年にISOで制定されて一定の移行期間をおいて1981年からその表記に従う、というのは結構ありそうなスケジュールだと思いませんか?


●ふろく:エンジン識別コード
 1972年からVINコードの5ケタ目がエンジン識別コードとなりました('81と'82の場合は8ケタ目)。が、"K"とか"L"とか言われても「そりゃ何じゃ?」という感じですのでそれを以下に一覧表としました。これを見て「オーッ、オレのアイアンやっぱりLT-1やんけ!」とか「ゲーッ、オレの'80、カリフォルニア仕様の305やんけ!」と一喜一憂して下さい。尚この資料もAnnyさんに提供していただいた資料によりかかること大です。あらためてお礼申し上げます。
 余談ですが、ここで言う「エンジン識別コード」というのはあくまで「車体VIN上での識別コードである」という点に御注意下さい。真のエンジンコードとは実際のエンジンに刻印してあるコードの事で、例えば1972年式のエンジンでVINコードに"L"と表記があっても実際のエンジンにはどこにも"L"とは書いてありません。読み替えが必要なのです。この"L"は"CKY,CKZ,CRT,CRS"の四つのエンジンコードのどれかに読み替えられます(ミッションの形式によって変わります)。ちなみにこれが有名なLT-1エンジンの事です。また実際にはエンジンコードは"V0101CKX"という様な表記になっており、製造月日まで判別が出来る様になっています。さらに面倒な話ですがエンジン自身にも車体自身とは別の"VIN"があり、これによって製造工場と年式、メーカー名などがわかるのです。ここらについては後日別のページにまとめたいと思っています。


●1972〜1982エンジンコード一覧
 '72〜80のVINならば頭から5桁目、'81〜'82は頭から8桁目に表示されているアルファベットまたは数字を下の適合表にあてはめて自分のエンジンがどんなエンジンか読み取って下さい。

1972
記号 排気量 馬力 燃料加給装置 オプションコード
K3502004BC--
L3502554BCLT1
W4542704BCLS5


1973
記号 排気量 馬力 燃料加給装置 オプションコード
J3501904BCL48
T3502504BCL82
Z4542754BCLS4


1974
記号 排気量 馬力 燃料加給装置 オプションコード
J3501954BCL48
T3502504BCL82
Z4542704BCLS4


1975
記号 排気量 馬力 燃料加給装置 オプションコード
J3501654BCL48
T3502054BCL82


1976
記号 排気量 馬力 燃料加給装置 オプションコード
J3501654BCL48
X3502104BCL82


1977
記号 排気量 馬力 燃料加給装置 オプションコード
L3501804BCL48
X3502104BCL82


1978
記号 排気量 馬力 燃料加給装置 オプションコード
L350175/1854BCL48
43502204BCL82


1979
記号 排気量 馬力 燃料加給装置 オプションコード
83501954BCL48
63502254BCL82


1980
記号 排気量 馬力 燃料加給装置 オプションコード
H3051804BCLG4
83501904BCL48
43502304BCL82


1981
記号 排気量 馬力 燃料加給装置 オプションコード
63501904BCL81


1982
記号 排気量 馬力 燃料加給装置 オプションコード
8350200CFIL83


※80年のコードH、オプションコードでいうLG4は、カリフォルニア・エミッ ション(排ガス規制エンジン)
※78年のコードLにもカリフォルニア・エミッションが含まれる
※'72から馬力表示がグロスよりネットに変わっています(実質71と72は同馬力)